研究実績の概要 |
下肢脛骨前面の5cm間隔4点で、トランスデュ―サーを使用して反射されて戻る時間Δt(S)を3回ずつ測定し平均値を算出した。さらに同部位に超音波画像装置のプローブ(10MHz)を当て3回ずつ皮膚厚を測定し、オシロスコープを使って其々で音速v=2d/Δt(m/s) を算出した。浮腫(+++)の下肢と浮腫(―)の下肢で比較検討した。浮腫の状態を把握できる指標3つ得た。1.浮腫の厚さ,2.浮腫の厚さの標準偏差,3.超音波の伝番時間波形の周波数スペクトルの形状であった。以上より、下肢前面の定点で浮腫の厚さを求め、周波数解析を行うことで、浮腫有無を簡便かつ迅速に判断できることが分かった。一方で超音波画像診断装置で撮影した下肢皮膚の画像解析を行った。妊婦141人(下肢282本)全ての下肢皮膚超音波写真を長方形に切り取り(縦:表皮~皮下組織、横:プローブ幅)、Photoshopで同部位の照度別(0~255)ピクセル数のヒストグラムを描出し、ピクセル総数、照度平均値、照度標準偏差、皮膚厚、ピクセル総数×照度標準偏差、ピクセル総数×照度平均値を求め、圧痕法の浮腫グレード(0~3)との相関をみた。浮腫グレードと各指標間でSpearman順位相関係数を算出した。結果、ピクセル総数: 0.51(p<0.0001)、照度平均値: 0.36(p<0.0001)、照度標準偏差: 0.22(p=0.0002)、皮膚厚: 0.51(p<0.0001)、ピクセル総数×照度標準偏差: 0.59(p< 0.0001)、ピクセル総数×照度平均値: 0.58(p<0.0001)を得、いずれも浮腫グレードと正の相関を示した。また、ピクセル総数×照度標準偏差の浮腫有無カットオフ値は4,803, 017で、感度93.7%、特異度72.0%、的中率87.9%と高く、これが浮腫定性・定量同時測定に使える可能性が示唆された。
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