研究課題/領域番号 |
20H03968
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
西川 浩昭 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (30208160)
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研究分担者 |
佐伯 圭一郎 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (50215521)
桂川 純子 豊橋創造大学, 保健医療学部, 准教授 (40369608)
服部 美穂 人間環境大学, 看護学部, 准教授 (90639551)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 共用試験 / CBT / OSCE / 看護系大学 / 臨床実習 |
研究実績の概要 |
医療従事者を養成する課程では、実際の患者を対象として医療機関で行う臨地実習が必修となっており、各養成課程のカリキュラム中で重要な位置を占めており、同時に多くの時間をかけている。しかしながら、こうした実習内容の大半は、実際には医療行為で業務独占行為に該当しているにも拘わらず、履修者は学生で、実習時には該当する行為を行う資格を有していないという問題を含んでいる。この点に対する対応策として、医学・歯学では平成17年より臨地実習に参加する学生の学力と技術力を保証する目的で、全国の学生を対象として、共用試験実施機構が共用試験を実施しており、この試験である水準以上の成績を修めることが出来ない者は臨地実習を行うことが出来ないようにしている。これは、学生が所属する大学の教員の判断による単位の取得や卒業というものとは異なり、独立した機関により行われるもので、この手続きを踏むことは違法性阻却事由の一つに該当すると考えられ、厚生労働省が望ましいとの通達を出している。さらに、薬学においては平成21年より、理学療法課程では、令和2年より開始されている。他方、看護においては、臨地実習を行っているにも拘わらず未実施で、検討すら行われていなかった。そうした点を踏まえ、本研究は、看護学を履修している学生にとって必須となっている臨床実習に臨む際にその学力と実技能力を保証するための共用試験の実施に向け必要となる内容・システム・評価基準などを検討し、可能な限り決定することを目的としている。なお、こうした試みは10年前に2件の科学研究費のプロジェクトにより試みられたものであるが、研究代表者の他界により中断してしまっていたものを引き継ぐものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学力評価のための共用試験については、以前の研究費プロジェクトで作成・使用したシステムの動作確認を分担研究者で、システム管理担当の佐伯氏に依頼した。模擬受験者としての確認については、研究代表者・分担者で行った。前回使用した問題の内容確認と修正については、研究代表者・分担者で手分けをして行った。これにより、CBTによる共用試験についてはモニター試験の実施可能な状況となった。 実技試験OSCEに関しては、分担研究者の桂川氏と内定後に分担者として追加した服部氏に実施する内容の検討を依頼した。両者は数回の検討会と大学のカリキュラムとして実技試験を取り入れているいくつかの大学を訪問し、実技試験を観察、実施責任者との面談を行って実技試験の項目について検討を行っている。それゆえ、OSCEに関してはモニター試験の実施に関してはもう少し検討が必要と考えられるが、それほど多くの時間は必要とせず、今年度中にはモニター試験が実施できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
学力評価のための共用試験については、システムの動作確認、問題の適切性の確認と修正、新規に問題を作成しての問題数の増加、合否水準としてのカッティングポイントの設定、実施環境の確認などの作業が必要である。これらの内、学生を集めての試験実施が前提となっているシステムの動作確認、問題の適切性の確認、合否水準の設定については、一度に多数の学生が集まり密状態になることが避けられないため、実施することが容易ではない。新型コロナウイルス感染症が収束すれば可能となるかも知れないが、感染が継続している状況では試験の実施は容易ではないので、感染の終息を待つ以外にないと考える。実施環境の確認については、後述するOSCEに関する内容と合わせて、対象となる看護系大学に照会する作業を今年度に行うべく準備している。 実技試験OSCEに関して必要な作業は、試験項目の確定、評価基準の作成、必要物品の確定、シナリオ(設定状況)の作成とそれに関連した映像媒体の作成などである。これらのうち、評価に関する項目については、学生を対象としたモニター試験の実施が必須となるため、新型コロナウイルス感染症の終息を待つことになるが、その他の項目に関しては担当者の判断・努力で可能であるので、さほど時間をかけずに可能になると思われる。 共用試験CBT、実技試験OSCEともに、研究の計画では同じ内容を繰り返すことが予定されており、今年度以降の対象数を増やすことで、対応は可能であると考えている。同時に両者にとって必須の問題であるその内容と結果の妥当性の検証についてもその過程で明らかに出来ると考えている。
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