研究課題/領域番号 |
20H03974
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 冨美子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40297388)
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研究分担者 |
石田 孝宣 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00292318)
吉田 詩織 東北大学, 医学系研究科, 助手 (60823391)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 乳がん体験者 / 生活の再構築 / リハビリケアプログラム / Quality of Life / 無作為化比較試験 |
研究実績の概要 |
令和2年度は「乳がん体験者の生活の再構築を促進する包括的な長期リハビリケアプログラム」に基づいて、術後3か月までの初期フォローアップ、術後1年までの短期フォローアップ、術後3年までの長期フォローアップとして計画した生活機能のモニタリング、医療保健に関する相談および教育活動、リラクセーションやメディカルヨガを体験できるイベントの開催、家族塾の開催、医療者とのコミュニケーションについて学ぶセミナー、自分らしく生きるためなどについて語り合うサロンの開催などの介入を計画した。しかし、コロナ感染拡大予防の観点からイベントや交流サロンを行わず、その内容を個別の教育活動で実施した。 それらの介入が対照群と比較して、乳がん体験者のQOLの維持向上、セルフケアマネジメント力の獲得になっているかを質問紙調査、介入および調査時の対象者の反応に関するデータによって術後3か月の短期フォローの効果を比較した結果、介入群のQOLの心理面・QOL合計得点(FACT-G)、SCAQ尺度の「生活の中で続ける能力」が術前と比較して術後3か月が有意に高かった。対照群は術前と術後3か月のQOL得点に有意差がなく、「生活の中で続ける能力」のみ有意に高かった。術後3か月の介入群と対照群の比較ではQOLの身体面・社会/家族面・心理面・機能面・FACT-G・FACT-B・FACT-TOI得点が有意に、また、SCAQ尺度の「体調を整える能力」を除く4下位尺度得点が有意に高かった。乳がん体験者の病気や治療に対する認知などを理解した術後3か月までの包括的な教育介入は、QOLおよびセルフケア能力を高める効果が示唆された。 術後1年までの短期フォローアップの成果は、次年度日本看護科学学会学術集会で報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
術後3年までの「乳がん体験者の生活の再構築を促進する包括的な長期リハビリケアプログラム」の効果を検証する本調査登録者140名のうち、術前、術後1週、1か月、3か月、6か月、1年まで6回の調査を終了した対象は、転院、死亡の13名を除く介入群、対照群合計127名である。現在、術後1年6か月~2年目の介入および調査を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍にあって、リハビリプログラムの介入が教育活動、相談が中心になっている。今年度は、オンラインによる講演の開催や教育冊子を配布するなど介入の一層の充実を図る。
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