研究課題/領域番号 |
20H03976
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村山 陵子 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (10279854)
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研究分担者 |
真田 弘美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50143920)
土井 麻里 (阿部麻里) 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (50802386)
小見山 智恵子 東京大学, 医学部附属病院, 看護部長 (60581634)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 末梢静脈カテーテル留置 / 輸液療法 / 輸液看護 / 看護技術 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護師でも使用可能な医療機器として、企業と共同開発した末梢静脈留置カテーテルを臨床現場に還元し、輸液療法における点滴トラブル発生を予防する末梢静脈カテーテル留置管理基準日本版の開発と普及を目指すことである。達成のための3つの研究ステップのうち、今年度は「新たに開発された新末梢静脈カテーテルの評価研究(研究1)」として安全性検証研究を終了している。抗がん剤以外の刺激性薬剤が投与される患者9名の上腕に新カテーテルを留置し、抜去後24時間までの有害事象、不具合発生の有無を観察した。その結果、解析対象者8名において有害事象発症は0件、「カテーテルの根元部分が屈曲したために起こったと考えられる、輸液ポンプの一時的な閉塞アラームの鳴動」という不具合の事象が8件中2件に発生したが、治療が中断されることはなかった。不具合の原因を検討し、対策をとることを前提にし、安全に本カテーテルが使用できることが確認された。 また「点滴トラブル予防を目指した新カテーテルを含むカテーテル留置アルゴリズムの確立(研究2)」として、すでに開発した「点滴トラブルを予防する超音波検査装置を用いた留置技術アルゴリズム」を活用し、穿刺成功率向上、および点滴トラブル予防効果としてアルゴリズムの有用性の評価研究を行った。一般病棟に入院する患者に対し看護師が留置するカテーテルを対象として、前向き調査を行った。 同一診療科においてアルゴリズムを習得した看護師が複数名所属する病棟と1人も所属しない病棟とを比較した。 その結果、穿刺成功率に有意差はみられなかった。点滴トラブル発生率は、アルゴリズム使用なしで12.8%(11/86件)に対し、使用ありで27.6%(21/76件)と有意に低かった。したがって本アルゴリズムは、看護師が使用した場合でも点滴トラブル予防に効果があることが確認された。今後さらに詳細な分析を要す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2として実施予定であった、臨床評価研究(開発した「点滴トラブルを予防する超音波検査装置を用いた留置技術アルゴリズム」を活用し、穿刺成功率向上、および点滴トラブル予防効果としてのアルゴリズムの有用性の評価)が、COVID-19パンデミックの影響でフィールド準備に時間を要し、研究開始が2か月ほど予定より遅くなったため、年度内に調査を終えるところまでとなり、詳細な分析が行えなかった。研究3の管理基準作成に必要な、研究2の分析結果がそろい次第、他のエビデンスも収集し、統合していく予定であった。
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今後の研究の推進方策 |
研究1「新たに開発された新末梢静脈留置カテーテルの評価研究」では非盲検ランダム化比較対照試験により点滴トラブル予防における有効性を評価する。その結果も今後の管理基準のデバイス選択のアルゴリズムに組み込んでいく。 研究2「点滴トラブル予防を目指した新カテーテルを含むカテーテル留置アルゴリズムの確立」では、教育プログラムとして確立し、普及を目指す。 研究3では、輸液療法における点滴トラブル発生を予防する管理基準日本版を開発にむけて、我々の研究成果のみならず、文献レビュー、各国ガイドライン、国内・海外の情報収集を通して、上腕へのカテーテル留置技術にも応用できるアルゴリズムに更新、改訂しながら、穿刺技術、固定方法、輸液チューブの取扱い(固定)などを含めたベストプラクティスを作成していく。
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