研究課題
「第3期がん対策推進基本計画」の中心であるがんゲノム医療は、既にがんと診断され治療を受けているがん患者に対する「個別化医療」の提供とともに、検査方法によっては遺伝性腫瘍の可能性も明らかとなるため、臨床現場は混乱をきたしている。その背景としては、多くの医療従事者が、患者や家族に対して、どのように対応すればよいのか経験が不十分なため、自分たちに対応できるスキルがないことからくる不安によるものであることが多い。そこで、遺伝性腫瘍への偏見や苦手意識を持つことなく、がんゲノム医療に携わることができる人材育成を行うために、がん看護専門看護師を対象としたがんゲノム医療における看護師の役割に関する教育プログラムを開発し、介入効果を検証することを目的とした。2021年度は、新型コロナ感染症拡大による影響のため、関連する国際学会や国内学会に参加し最新の情報を収集することができなかったため、各自が対応してきた事例の振り返りを行い、エッセンスを抽出し、教育プログラム案の基盤作成を行うことに注力した。がん看護専門看護師を対象とした教育ニーズ調査研究の結果、対象者の背景は3つに分けられた。1つ目は、現在すでに自施設での遺伝カウンセリングへ関与しているがん看護専門看護師であり、実践を行う中での困難なことなどが見られた。2つ目は、これから関与する予定であるがん看護専門看護師であり、がんゲノム医療が一般臨床に組み込まれるようになり、それらを推進する役割を期待されているゆえ、新たな知識等を学習したいというニーズが見られた。3つ目は、現時点では自施設での取り組みの予定はないがん看護専門看護師であったが、がん看護の専門家として自身の学習のために最新の情報を学習したいというニーズが見られた。このようにニーズの背景が異なるため、どのような教育コンテンツが妥当であるのか検討が必要であることが明らかとなった。
4: 遅れている
新型コロナ感染症による影響のため、関連する国際学会や国内学会に参加し最新の情報を収集することができなかったこと、各所属先での本務が多忙になり、研究について検討する時間を捻出することができなかった。
今後は、2017年~2019年科学研究費助成金『がん看護専門看護師を対象とした遺伝リテラシー向上のための教育プログラムの開発』の成果を再度見直し、教育プログラム案に活用する内容を選定する。また、国内外の関連学会の情報を可能な範囲で収集し、教育プログラム案の作成に役立てる。さらに、共同研究者と遠隔で会議を行い、具体的に教育プログラム案の作成に取り組む。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)
日本遺伝カウンセリング学会誌
巻: 42 ページ: 51-55
四国医学雑誌
巻: 77 ページ: 123-130
がん看護
巻: 26 ページ: 561-566