研究課題/領域番号 |
20H03992
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) |
研究代表者 |
大谷 弘行 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 緩和治療科医師 (10600067)
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研究分担者 |
森田 達也 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床教授 (70513000)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 看取り / こころ残り |
研究実績の概要 |
家族が患者の死に備えることは患者自身の終末期のquality of lifeのみならず、遺族の健康も左右する。本研究では、家族が患者の死に備えることのできる看護介入プログラムの効果を検証する。介入内容はこころの準備を促して心残りを減らすことを目的としたリーフレットを含むケア介入である。ケア介入は、家族にとってのこころ残りが減少するかを検証する。 昨年までに、介入効果を評価するためのこころ残りを定量化する尺度の開発を行った。すなわち、こころ残り尺度(国内開発16項目、海外開発4項目)を用いて、介入研究で用いるアウトカム評価とするために患者・家族のこころ残りについての家族の体験を定量する尺度の開発を行った。 2021年度は、これまでに開発したこころ残りに関する評価尺度の信頼性・妥当性を、遺族を対象として検証した。この他、遺族の評価に関連する環境要因に関する知見の整理を行った。2020年度に開発したこころ残りに関する評価尺度の信頼性として、内的一貫性(こころ残り尺度のChronbackのα係数)は0.96、再試験法(再試験法による評定者間信頼度係数(ICC))は0.74 であった。また、妥当性として、並存的妥当性(こころ残り尺度と、UBBS短縮版日本語版、CES短縮版、GDI短縮版、BGQ、PHQ-9のそれぞれ平均点のPearson correlation)は、それぞれ0.46、-0.08、-0.16、0.40、0.33であった。 今後、本尺度を用いて介入研究を行うことが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今後、介入、介入の評価とすすめていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
こころ残りを改善するためのケア介入を実際に終末期患者の家族に適用して介入を行う。介入においては、緩和ケア病棟で実装して評価を得るとともに、介入期間中に対象となった患者に対して来年度に実施予定である遺族調査の対象者一覧表を作成する。遺族調査で用いる指標は、2021年度までに信頼性・妥当性を評価した「こころ残りに関する評価尺度」であり、終末期がん患者の家族のこころ残りの程度を測定することができる。また、介入と並行して、介入前調査の解析を完了させる予定である。
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