研究課題/領域番号 |
20H04009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
成瀬 昂 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (90633173)
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研究分担者 |
山本 則子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (90280924)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 通所介護 / システマチックレビュー |
研究実績の概要 |
1)通所介護事業所での管理者へのインタビュー 都内の通所介護事業所職員7名にインタビューを3度に分けて行った。コロナ禍にあって、職員が明確にしたい通所介護ケアとして「通所介護事業所での社会参加」および「家族・利用者にとってのレスパイト」の2つが挙げられた。これは、コロナ禍で要介護高齢者があえて自宅外に外出し集団で行動することについて、コストの割に明確なアウトカムが測定しにくく、通所型のサービスの継続について職員が葛藤していることに根付いていた。 2)社会参加および家族・利用者にとってのレスパイトに関する文献レビュー 通所介護事業所の利用者に対して行った過去のインタビューデータより、社会参加・レスパイトに関するスコーピングレビューを行った。通所型サービスによる家族レスパイトの短期的効果は定量的にその効果が明らかにされていた一方、社会参加による高齢者本人への効果については明確な知見がないことが分かった。社会参加による高齢者本人への効果指標として、実践者との討議および文献調査の結果、社会的孤立・睡眠障害に着目することを次年度の課題とした。 3)通所介護利用者のサービス体験を評価するための指標の作成 利用者1人1人について、17種類の体験の頻度を尋ねる指標(The J-AdaCa Tool)を作成した。既存データ(都内の11箇所の通所介護事業所・360名の利用者のデータ)に対して主成分分析を行った。通所介護のサービス体験は「社会参加」「健康管理」「運動と食事」「家族支援」の4つの側面から構成されており、各体験の豊富さを示すためにスコア化することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年8月までに、事前準備、通所介護事業所でインタビュー調査を行い、令和3年3月までに、レビューの問いの明確化、レビューの問いに沿った文献調査、レビュープロトコルペーパーの登録を行う予定であった。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響により、研究協力者(機関)の事情を鑑み、インタビュー調査の時期を遅らせることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に得た問いのうち、社会的孤立、睡眠障害の2つの課題について、システマティック・レビューで答えられるようなレビュープロトコルを作成する。プロトコルはJBISystematicreviewprotocoltemplateに従い作成する。また、通所介護実践者を委員に含む検討委員会(15名程度)を設置する。そこでは、前述のレビュー出た結果に対し、日本の通所介護の実践現場で活用できること、活用されやすいよう表現すること、の2点から、実践者向けのガイドライン資料へと編集する作業を行う。なお、教育・福祉媒体の媒体のデザインに長けた専門業者に作業を一部委託し、業者職員もオブザーバーとして委員会には参加する。
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