研究課題/領域番号 |
20H04035
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
井上 敬一 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (30396981)
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研究分担者 |
瀬原 吉英 自治医科大学, 医学部, 講師 (50721156)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マイトファジー / ミトコンドリア / 廃用性筋萎縮 / アデノ随伴ウイルス |
研究実績の概要 |
本研究は、マイトファジー活性化による筋萎縮の遺伝子治療法の開発を目的とする。不要になったミトコンドリアは、オートファジー・リソソーム経路により分解除去される。この現象をマイトファジーという。廃用性筋萎縮の過程で、マイトファジーと活性酸素種が増加する。このマイトファジーの増加は、不要となったミトコンドリアが産生する活性酸素種を減少させることで、筋萎縮の進行を抑制すると考えられる。そこでマイトファジーをさらに増加させることで、筋萎縮の治療をめざす。具体的には、「課題1」マイトファジーの筋萎縮抑制機能の検証、「課題2」マイトファジー促進遺伝子のゲノムワイドスクリーニング、「課題3」マイトファジー促進遺伝子導入による筋萎縮モデルマウスの遺伝子治療、を行う。 当該年度は、昨年度より継続して、以下の研究を行なった。①同定したマイトファジー誘導候補遺伝子それぞれのノックアウトマウスの作製、②マイトファジー誘導候補遺伝子ノックアウトマウスとマイトファジーレポーターマウスの交配による、骨格筋におけるマイトファジー誘導遺伝子の決定、③マイトファジー誘導候補遺伝子多重ノックアウトマウスの作成と解析、を行なった。 当該年度の成果により、最終的な目標であるマイトファジーの人為的誘導に必要な遺伝子を発見することができた。今後は、ウイルスベクターを用いて、この遺伝子を骨格筋に発現させることで、マイトファジーを活性化し、新たな筋萎縮の治療法の開発に取り組む。 以上の研究はすべておおむね当初の予定どおりに遂行しており、次年度はこれらの実験材料・実験手法を用いて、数多くの成果が期待できる。現在のところ大幅な研究計画の予定はない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、遺伝子治療に必要なマイトファジー誘導遺伝子を同定することができたため。また、その遺伝子のノックアウトマウスの解析も順調に進んでいる。それゆえ全体としてみると、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の研究を計画している。①マイトファジー誘導遺伝子のシングル、多重ノックアウトマウスに廃用性筋萎縮モデルを適用し、この遺伝子の筋萎縮への効果を検討する。②同定したマイトファジー誘導遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスベクターを作製し、廃用性筋萎縮モデルマウスに投与することで、筋萎縮の抑制効果を検討する、③ノックアウトマウスの全身組織を網羅的に解析を行う。以上により、申請課題を当初に計画どおり遂行できると考えられる。
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