研究課題/領域番号 |
20H04038
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大南 博和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (90803057)
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研究分担者 |
八木 秀介 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (00507650)
増田 真志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (50754488)
大西 康太 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (80723816)
伊勢 孝之 徳島大学, 病院, 助教 (90621649)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心臓リハビリテーション / リハビリテーション栄養 / 心不全 / 代謝リモデリング / 運動耐容能 / 糖・脂質代謝 |
研究実績の概要 |
正常な心筋はエネルギー源として主に脂肪酸を利用しているが、心不全では心筋の代謝リモデリングが起こり糖の利用が増加する。慢性的な代謝リモデリングは心不全増悪の一因となるが、運動、すなわち心リハにはミトコンドリア機能を改善させることで代謝リモデリングを緩和する効果が期待できる。一方、エネルギー基質の供給源が食事であることを考えると、食事内容や栄養状態が代謝リモデリングに反映されることが予想される。そこで本研究では、心筋の代謝リモデリングに及ぼす影響に着目し、心不全に対する運動と栄養の相乗効果を明らかにすることを目的とした。 本年度はまず、心不全モデル動物として一般的に用いられている横行大動脈縮窄(TAC)マウスの作製技術を習得した。次に、TACマウスに強度の異なるトレッドミル運動を施行し、心リハの効果を模倣する運動介入方法を決定した。この運動条件のもと、さらに糖・脂質組成の異なる試験食を与えながら8週間飼育したところ、コントロール食あるいは大豆油添加食を与えた群では、運動介入との組合せが心機能低下の抑制に有効であったのに対し、ラードを与えた群では一転して左室収縮能、運動耐容能ともに低下していた。さらに心筋では、糖・脂質代謝に関連する酵素群の遺伝子発現が大きく変動していることが明らかとなった。 このように、本年度は適切な栄養介入が運動(心リハ)の効果を高めることが確認できたため、次年度は試験食のバリエーションを増やすとともに、代謝リモデリングを多角的に評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TACマウスの作製には大動脈弓部の外科的な縮窄手術が必要であるが、比較的早期にこの手技を身に着けることができ、予定より早い段階で適切なモデル動物を準備することができた。さらに、運動および栄養介入を組合わせた動物試験を実施し、組合せの違いにより心不全の病態および心筋の代謝リモデリングへの影響が異なることを見出した。このように、本年度は動物試験の評価系を確立するとともに、運動と栄養の相乗効果について本研究の土台となる知見を得ることができた。また、研究を進めていく中で、適切な運動介入方法(強度、時間、頻度)を検討する必要が生じたが、この追加試験も本年度中に実施できた。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は糖・脂質組成の異なる4種類の試験食で栄養介入を行ったが、心筋の代謝リモデリングに作用する栄養素や食品成分は他にもいくつか報告されている。これらの知見をふまえ、次年度以降は試験食のバリエーションを増やし、より多くの栄養素の影響を評価することで、心リハ栄養の基盤となる科学的根拠を蓄積する。
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