研究課題/領域番号 |
20H04039
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
榊間 春利 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10325780)
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研究分担者 |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
前島 洋 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (60314746)
菊池 清志 久留米大学, 医学部, 准教授 (60404539)
大塚 章太郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (80849901)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / リハビリテーション / 漢方薬 / 脳神経保護 / 機能回復 / 神経可塑性 |
研究実績の概要 |
本年度は、Fc receptor (Fyn)/Fyn-MBP(myelin basic protein)を介したミエリン形成やastrocyteからのNGF合成を促進する漢方薬(人参養栄湯)と運動療法の併用による機能回復促進、脳保護効果に及ぼす影響を検討した。 成熟雄SDラットを用いて、60分間の虚血再還流により中大脳動脈領域の脳梗塞を作成した。脳梗塞後1日から人参養栄湯摂取させた。運動療法はトレッドミル運動(8-15m/分、5回/週、20分/日)を実施した。4週間後に運動機能、脳内生理活性物質の動態を観察した。 その結果、脳梗塞後に感覚・運動機能の低下を認めたが、人参養栄湯群や運動群で改善を示した。脳梗塞体積の検定では人参養栄湯単独投与では統計学的な有意差は認められなかったが、人参養栄湯と運動の併用群で有意な脳梗塞縮小効果が認められた。脳内における神経栄養因子(NGF)や脳由来神経栄養因子(BDNF)、そのレセプターであるTrkAとTrkBのタンパク発現をウエスタンブロット法にて観察すると、人参養栄湯群の脳内NGF発現量は増加していた。さらに運動との併用でNGFやBDNF、そのレセプターの発現は有意に増加し、同時にpAkt/Aktの割合も人参養栄湯と運動の併用群で有意に増加していた。これらの結果は、脳梗塞後の運動機能低下に対する運動療法と人参養栄湯の投与は運動機能回復を促進し、その作用メカニズムには脳内のNGF/TrkA、BDNF/TrkBとその下流にあるPI3/Aktシグナル伝達経路の活性化が関与していることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、これまでのプレコンディショニング運動や遠隔プレコンディショニング(RIPC)の脳保護効果とそのメカニズムの解明の研究も継続しておこない、さらに漢方薬と運動療法の併用が脳梗塞後の機能回復に及ぼす影響も検討した。研究計画に基づき研究を遂行しており、概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も継続して、遠隔プレコンディショニング、脳梗塞後の認知症予防、薬剤との併用効果とそのメカニズムを検討してリハビリテーション領域のエビデンス構築を目指していく予定である。
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