研究課題/領域番号 |
20H04042
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
椿 淳裕 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (50410262)
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研究分担者 |
渡邊 博昭 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (20796156)
堀田 一樹 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (30791248)
森下 慎一郎 福島県立医科大学, 保健科学部, 教授 (60635077)
大西 秀明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90339953)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血圧低下 / 酸素化ヘモグロビン / 赤血球移動速度 |
研究実績の概要 |
本研究は,大脳皮質の神経活動を捉える指標として酸素化ヘモグロビンを測定し,急激な血圧変化を生じさせた時の変動から循環調節に関与する領域を同定すること,導管動脈と毛細血管との差異を明らかにすることを目的に,ヒトを対象とした基礎的研究および実験動物を対象とした基礎的研究の両面からアプローチしている. 2021年度はヒトを対象とした基礎的研究として,2020年度よりも被検者を増やして実施することに加え,動物実験においてヒトでは検証できない現象の生理学的背景の解明に着手した.12週齢のWister系ラットを対象に,イソフルラン吸入麻酔下のラットの腹部大動脈を5分間駆血し,一気に開放することで急激に血圧を低下させた.この時の大脳皮質の微小循環の変化を,麻酔下,開頭下で共焦点レーザー走査顕微鏡により蛍光試薬(Fluorescein isothiocyanate)により標識した赤血球をレーザー光により検出し,高速度撮影することで,毛細血管レベルで捉えた. ヒトを対象とした研究では,前年度と同様の結果に加え,駆血解放後の血圧最低値までの時間に比べ,酸素化ヘモグロビンの最低値までの時間が有意に遅いことが明らかとなった.この時間には領域間に差はないことを確認した.動物実験においては,血圧低下モデルの作成に時間がかかった.血圧の低下によって大脳皮質レベルの赤血球移動速度は著しく低下することがわかった.一方毛細血管径の変化は,移動速度の変化に比べ小さくかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験においては血圧低下モデルの作成に予想外に時間がかかった.しかしながら研究分担者と頻回に協議をし,データ計測が可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
動物実験での追加測定を行い,データ数を増やすことで,得られた現象の統計学的な検討を行う.それと並行して,ヒトを対象とした血流変化に関しては,安静時の中大脳動脈血流の測定を進め,2022年度の当初計画を遂行するとともに,2023年度の計画である運動時と運動時との比較についても進める. これにより,運動時の大脳皮質の循環動態やその調節メカニズムを捉える糸口として,酸素ダイナミクスを基盤とした大脳皮質の毛細血管レベルの微小循環を評価する方法の開発を目指す.
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