研究課題/領域番号 |
20H04050
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
田中 悟志 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10545867)
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研究分担者 |
熊田 竜郎 常葉大学, 保健医療学部, 教授 (00402339)
森下 紗帆 常葉大学, 健康プロデュース学部, 助教 (30614010)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 神経科学 / リハビリテーション / 心理学 / 脳刺激 / 運動 / 認知 |
研究実績の概要 |
1)ヒト健常者の脳活動に対する用量反応関係の予備的検討 ヒト健常成人を対象にtDCSの用量反応関係を明らかにするために、昨年度は実験パラダイムの確立および予備実験を行った。所属する浜松医科大学医学部付属病院のMRI機にて撮像したT1およびT2構造画像から電界シミュレーションを行う体制を確立した。さらに、二重盲検法による実験パラダイムも問題なく実施できることを確認した。また、COVID-19の影響により一時ヒトを対象とした生理実験の実施に困難が生じたこともあり、運動機能以外(動機づけ)の機能に対する用量反応関係の検討に資する知見を得るためのアンケート調査をまとめた。その結果、研究のターゲットとすべき動機づけ方略が可視化・リスト化され、今後どの動機づけ方略を研究の対象にすべきか、より明確になった。 2)ラットを対象とするtDCSの用量反応関係の予備的検討 実験動物モデルを用いてtDCSの効果を検証するために、ラット頭部にtDCS投与電極を取り付け刺激装置から通電する実験系を確立した。パイロット実験として、光増感法により脳梗塞を誘導したラットを作出し、術後翌日よりtDCSによる通電刺激実験も行い運動機能の回復経過について検討した。運動評価法については、一般的な動物の運動評価法に加えて、より詳細な障害の検出ができるように三次元動作分析を用いた運動評価法の開発に取り組んだ。また、tDCSの脳内の白質に対する影響を今後調べていくために、組織学的な予備的検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響により一時ヒトを対象とした生理実験の実施に困難が生じることもあったが、おおむね当初計画したとおりの研究を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)ヒト健常者の脳活動に対する用量反応関係の予備的検討 ヒト健常成人を対象にtDCSの用量反応関係を明らかにするために、昨年度は実験パラダイムの確立および予備実験を行った。今年度は本実験を遂行する。実験は、MRIにてあらかじめ対象者のT1,T2構造画像を取得し、次に異なる刺激強度による10分間のtDCS投与によって,運動誘発電位を指標とした皮質興奮性がどのように変化するかを明らかにする。また、COVID-19の影響により今年度もヒトを対象とした生体実験が計画通りに実施できない可能性が考えられる。そのため、運動機能以外(認知、動機づけ)の用量反応関係の検討に資する知見を得るため、これまでの自身の研究成果に基づく実験パラダイムの構築や文献的検討、アンケート調査を引き続き実施する予定である。
2)ラットを対象とするtDCSの用量反応関係の予備的検討 昨年度はラットの頭部にtDCS投与電極を取り付け、刺激装置から通電する実験系を確立し、予備実験を行った。今年度は、光増感法により脳梗塞を誘導したラットを用いてtDCS投与を行い、その運動機能の回復経過について定量的に調べる。まずは、運動機能の回復経過を詳細に調べるため、三次元動作分析法を含む齧歯類の運動評価系の改善に取り組む。また、実験的脳梗塞動物へのtDCS投与が脳の再構築に与える影響についての検討を行う。特に白質への影響について組織学的・電子顕微鏡的な解析を行う予定である。上述したヒトでのtDCSの用量反応関係が明らかになってきた際には、電界シミュレーションによりヒトと同様の脳内電界値に相当する物理量を求める。その後、その強度でtDCS投与を行い、ラットでのtDCSの用量反応関係について検討する。
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