研究実績の概要 |
リンパ浮腫になると、周囲のリンパ系が側副路として働くことが観察される。背景の病態も明らかにするために、下腿・大腿部・下腹部・陰部リンパ系の解剖情報も追加した。下腿末梢からのリンパ管グループは4つ(AL,AM,PM,PL)に分けられること、到着するリンパ節は3つである事(SP,IL1,IL2)を既に報告している。下腿部のリンパ管は主にALとAMに合流し、独立したリンパ管グループを持たないことが明らかになった。リンパ節もIL1もしくはSL2に合流し、独立したリンパ節は持たないことが明らかになった。大腿部のリンパ管も主にはALに合流し、IL2リンパ節に到着するため、独立したリンパ系でないことが明らかになった。下腹部からのリンパ管はSLリンパ節に到着し、下肢からのリンパ系とは異なることを明らかにした。陰部からのリンパ系はSMリンパ節に到着し下肢・下腹部からのリンパ系とは独立することを明らかにした。近赤外領域に特化したカメラ・広角レンズ・ロングパスフィルターを使用して、広角に近赤外画像を取り込めるシステムを構築した。次に定量化を目指したが、定量化のためにはリンパのレグメンテ―ションが必要である。しかし画像特性上、場所ごとに輝度が大きく変化するため目視では流れをたどることができても、AIを用いたセグメンテーションは困難である。そこでユーザー側の操作(プロンプト)によってセグメンテーション領域を変更可能なSAM(segment anythingmodel)を用いた開発を行っている。このモデルは言葉や幾何学情報によってセグメンテーション領域を変更することができるため、撮像条件ごとに最適なセグメンテーションを行うことができる。また画像を扱うことが可能な大規模言語モデル(MMLLM:Multimodal Large Language Model)を用いた定量化も目指している。
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