研究課題/領域番号 |
20H04053
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30325782)
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研究分担者 |
大渡 昭彦 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (30295282)
原田 雄大 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (30755228)
吉田 輝 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (40347109)
栗原 崇 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (60282745)
吉野 紀美香 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80594902)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / リハビリテーション / 片麻痺モデル |
研究実績の概要 |
【研究の概要】これまで脳卒中片麻痺に対するリハビリテーション治療として運動療法や薬物療法、物理的刺激などの臨床的有用性を検討してきたが、機能回復に伴う中枢神経系の作用機序については不明の点も多い。本研究では、霊長類による『脳梗塞片麻痺モデル』を用いて、これまで基礎的研究が困難であった慢性期の脳梗塞に対する新たなリハビリテーションや物理療法、薬物療法の併用効果を検証し、加えて回復に寄与した神経メカニズムについて組織学的及び電気生理学的に追及していくことを目的とし、以下の研究を実施した。 1.脳梗塞モデルの作成と脳地図作成 コモンマーモセットを全身麻酔下で頭部正中を皮切後、術中マッピングで大脳半球感覚運動野を同定する。光感受性色素であるローズベンガル を静脈から注入し、緑色光線を大脳半球感覚運動野に照射して、脳梗塞片麻痺モデルを作成する。術後、MRIを用いて脳梗塞領域を確認し、実 験終了後に組織学的評価を行った。 2.運動機能評価法 術後から3次元動作解析ソフトで行動解析を行う。行動場面を観察し、マーモセットの行動様式に合わせた独自のスコアリングを行う。 3.治療介入法(リハビリテーション、薬剤投与) 治療介入として麻痺側への電気刺激や振動刺激、中枢への反復経頭蓋磁気刺激や経頭蓋直流電流を行う。物理的刺激を加えた群とコントロール 群を比較して機能回復や組織学的評価で神経の可塑的変化に差が生じるか検討する。 4. これまでヒトを対象として実施したリハビリテーションとして、ロボットリハビリテーションの効果に関する研究や痙縮治療薬と促通反復療法との併用効果に関する研究について論文報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
術中マッピングや高出力光源の導入によって脳梗塞モデル作製法の精度が高まった。脳梗塞発症翌日に動物用MRIで評価することで脳梗塞像を低侵襲で確認でき、実験後の生存率を高めることに成功した。また、3次元動作解析ソフトの導入によって脳梗塞の回復過程を客観的に測定することができ、従来の脳梗塞後の運動機能評価との相関を検証している。実験終了後に病理組織学的評価を行い、脳梗塞後に神経の可塑的変化が生じているか考察した。リハビリテーションの手法として、実験前からマーモセット専用チェアに固定して上肢で餌をとる動作を練習させ、脳梗塞後から麻痺側の上肢で同様の動きをさせることで運動学習効果を図った。また、近年注目されている光操作法(オプトジェネティクス)による光刺激を与えることで神経細胞を賦活化させ、さらなる運動機能回復を促した。
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今後の研究の推進方策 |
運動障害に関する回復過程の客観評価については、論文報告を進める。評価方法として、拡散テンソル画像やfMRIの導入を検討している。リハビリテーションについては、麻痺側への電気刺激や振動刺激、中枢への反復経頭蓋磁気刺激や経頭蓋直流電流を行い、シャム刺激群との比較で機能回復や組織学的評価で神経の可塑的変化に差が生じるか検討する。
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