• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

組織ミトコンドリア機能に対するリハビリテーション運動療法の有効性の機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H04054
研究機関東北医科薬科大学

研究代表者

伊藤 修  東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (00361072)

研究分担者 上月 正博  東北大学, 医学系研究科, 教授 (70234698)
森 建文  東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40375001)
高橋 麻子  東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (20825773)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードリハビリテーション / 循環器・高血圧 / 腎臓 / ストレス / 細胞・組織
研究実績の概要

高フルクトース(HFr)摂取は、高インスリン血症・高トリグセライド血症・高尿酸血症・高血圧等のメタボリックシンドロームを惹起する。長期的運動による臓器障害抑制効果の機序を解明するため、高血圧・臓器障害を食塩感受性に発症するDahl食塩感受性(DS)ラットおよび食塩抵抗性(DR)ラットにHFr摂取させ、長期的運動による血圧・腎機能・腎組織像への影響を検討した。 雄性DSラットとDRラットに通常食餌もしくは60%HFr食餌を12週間投与後、 血液・尿パラメータ、腎組織像およびレニン-アンジオテンシン系(RAS)コンポーネントの腎内発現を検討し、さらに、有酸素運動レベルのトレッドミル運動を実施し、長期的運動の効果を検討した。HFrは両系ラットにおいてメタボリックシンドロームを発症させ、血圧上昇、アルブミン尿、糸球体過剰濾過、糸球体硬化、糸球体上皮障害、輸入細動脈肥厚、腎間質線維化を惹起し、それらの変化はDSラットにおいて増強していた。両系ラットにおいてHFrはアンジオテンシノーゲン、レニン、(プロ)レニン受容体、アンジオテンシン変換酵素およびアンジオテンシンIIタイプ1受容体の腎内発現を増加させ、それらの変化もDSラットで増強していた。このHFr誘発性の腎障害はRAS阻害薬や利尿薬で軽減する一方、血管拡張薬では改善しないことから、食塩および腎内RAS依存性であることが示された。また、DSラットにおいて、長期的運動はHFr誘発性の高血圧、アルブミン尿、糸球体過剰濾過、腎障害・線維化を軽減し、腎内RASコンポーネント発現や脂肪酸代謝を改善した。これらの結果から、DSラットにおいて、HFr誘発性の高血圧と腎障害・線維化は腎内RASコンポーネントの増加を伴って増強しており、長期的運動はHFr誘発性の高血圧や腎障害をRAS阻害薬と同様に抑制できることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

主たる目的である長期的運動の臓器障害への有効性の機序の解明に関して、Dahl食塩感受性ラットにおける高フルクトース摂取による高血圧や腎障害の発症に腎内レニン-アンジオテンシン系(RAS)が関与することを明らかにでき、さらに、高フルクトース摂取Dahl食塩感受性ラットにおける長期的運動の降圧・腎保護効果の機序には、腎内RASや脂肪酸代謝の改善が関与することを明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

令和2年度の高フルクトース摂取Dahl食塩感受性ラットにおける長期的運動の臓器保護効果の機序の詳細を解明すると共に、令和3年度には、高血圧や腎障害がより増悪する高食塩摂取下のDahl食塩感受性ラットおいても長期的運動の臓器保護効果やその機序を明らかにしていく予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Metformin slows liver cyst formation and fibrosis in experimental model of polycystic liver disease2021

    • 著者名/発表者名
      Sato Y, Qiu J, Hisose T, Miura T, Sato Y, Kohzuki M, Ito O
    • 雑誌名

      American Journal of Physiology-Gastrointestinal and Liver Physiology

      巻: 320 ページ: G464-G473

    • DOI

      10.1152/ajpgi.00120.2020.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of exercise training on renal interstitial fibrosis and renin-angiotensin system in rats with chronic renal failure2020

    • 著者名/発表者名
      Yamakoshi S, Nakamura T, Suda C, Sakuyama A, Mori N, Kohzuki M, Ito O
    • 雑誌名

      Journal of Hypertension

      巻: 39 ページ: 143-152

    • DOI

      10.1097/HJH.0000000000002605.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Combination of Exercise Training and SOD Mimetic Tempol Enhances Upregulation of Nitric Oxide Synthase in the Kidney of Spontaneously Hypertensive Rats2020

    • 著者名/発表者名
      Cao P, Ito O, Ito D, Rong R, Yang Z, Kohzuki M
    • 雑誌名

      International Journal of Hypertension

      巻: 2020 ページ: 1~10

    • DOI

      10.1155/2020/2142740

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 1本の腎尿細管から腎臓リハビリテーションへ~腎臓病の包括的医療を目指して~2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤 修
    • 学会等名
      第11回日本腎臓リハビリテーション学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 多発性嚢胞腎モデルラットの腎嚢胞増大と細胞増殖機構への長期的運動の効果2021

    • 著者名/発表者名
      仇 嘉禾, 佐藤陽一, 三浦平寛, 徐 路思, 上月正博, 伊藤 修
    • 学会等名
      第11回日本腎臓リハビリテーション学会学術集会
  • [学会発表] 5/6腎摘除慢性腎不全ラットにおける長期的運動の腎間質線維化とその関連因子への効果2021

    • 著者名/発表者名
      山越聖子, 中村貴裕, 森 信芳, 須田千尋, 上月正博, 伊藤 修
    • 学会等名
      第11回日本腎臓リハビリテーション学会学術集会
  • [学会発表] Dahl 食塩感受性高血圧ラットにおける高食塩食摂取による(プロ)レニン受容体腎内発現と腎間質線維化2020

    • 著者名/発表者名
      山越聖子, 伊藤 修, 大崎雄介, 中村貴裕, 廣瀬卓男, 高橋和広, 森 建文, 戸恒和人, 戎 栄, 上月正博
    • 学会等名
      第63回日本腎臓学会学術総会
  • [学会発表] Dahl食塩感受性と抵抗性ラットの血圧と腎障害への高フルクトース摂取による影響2020

    • 著者名/発表者名
      徐 路思, 伊藤 修
    • 学会等名
      第63回日本腎臓学学術総会
  • [学会発表] 多発性嚢胞腎モデルラットにおける長期的運動の腎保護効果の検討2020

    • 著者名/発表者名
      三浦平寛, 上月正博, 伊藤 修
    • 学会等名
      第57回日本リハビリテーション医学会学術集会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi