研究課題/領域番号 |
20H04063
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大藏 倫博 筑波大学, 体育系, 教授 (60396611)
|
研究分担者 |
上野 友之 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10390931)
尹 之恩 筑波大学, テーラーメイドQOLプログラム開発研究センター, 研究員 (60813277)
新井 哲明 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90291145)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 認知症予防 / アミロイドベータ / マルチタスク運動 / MARDI-TOF質量分析法 |
研究実績の概要 |
本研究では、アミロイドβ(Aβ)を主要評価項目とし、認知機能を副次評価項目とするランダム化比較試験(RCT)を実施することによって、マルチタスク運動(MTE)の認知症予防効果を明らかにすることを目的とした。令和3年度は研究参加者(100名)における介入期間中で、コントロール(CT)群を除き、各比較群は提供された運動(①MTE群:スクエアステップエクササイズ、②シングルタスク(STE)群:ウォーキング)を実践した。さらに、運動実践の効果を調査するため、3カ月ごとに運動日誌を配布(各群それぞれ、合計3回)した。調査方法は新型コロナウイルスの状況を考慮し、郵送による運動日誌の配布及び電話調査等の非対面式で行った。その詳細は以下である。 ①MTE群(34名、平均年齢:74.8歳)は、毎週、90分間のMTE教室に参加し、スクエアステップエクササイズを実践した。3か月ごとに、MTE教室の参加有無及びスクエアステップエクササイズ以外の運動実践について調査した。一方、新型コロナウイルスによる公民館等の公的施設使用中止から、MTE教室の実践ができなかった期間もあった。その期間を除き、MTE教室の参加率は85%であった。MTE教室の開催有無は、運動日誌に記載するように教示した。②STE群(33名、平均年齢:74.5歳)は毎週、60分間の自主的にウォーキングを行うこととした。ウォーキングの実践有無及びウォーキング以外の運動実践についてMTE群と同様に運動日誌を用いて調査した。また、新型コロナウイルスによる外出制限から、ウォーキングの実践ができなかった期間もあった。しかし、その期間を除き、ウォーキングの実践率はMTE教室の参加率より高かった(90%)。③CT群(33名、平均年齢75.0歳)は介入前と同様に生活習慣を維持することとした。介入の完了は令和4年12月である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は研究計画調書及び交付申請書に記載した通り、65歳以上の高齢者を対象としてマルチタスク運動による認知症予防効果を検証するための介入試験を実施中であることから、予定していた計画に対し、おおむね順調に進展したと評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度である令和4年度は、令和3年に引き続き介入試験を継続実施する(令和4年12月に完了予定)。介入期間の終了後は速やかに介入前と同様の血液検査、認知機能検査、身体機能検査、身体活動量調査などを行う。さらに、得られたデータを直ちに解析し、マルチタスク運動の認知症予防効果が見られたかどうかについて検証を行う。データ分析方法の詳細は以下の通りである。 ①運動介入による認知症予防効果の解明:介入前後の変化量について、介入群、時点(介入の前後)、介入群×時点を含めた二要因分散分析により解析する。 ②最も効果の高い個人レベル条件の解明:多変量解析により個人レベル(年齢、性、既往歴、生活習慣、身体活動量、社会的活動)と介入効果の相互関連を検討する。 以上の方法で、研究計画書の中で掲げた課題の解明に取り組む。
|