研究課題
2023年度は、流水プールにおいて水中ドルフィンキックを行った際のスイマーの周りの水の流れを、粒子画像流速計測法により可視化し、推進メカニズムの解明する研究課題である。研究の背景として、泳者の下肢の運動速度を向上させることは、水中遊泳(UUS)の速度を向上させるために極めて重要である。しかし、このような動作が遊泳速度にどのような影響を与えるのか、その根本的なメカニズムは不明なままであった。そこで本研究では、回流水槽内での試験流速(U)の変化による水泳動作の変化と、その結果生じる流れ場の変化との関係を明らかにすることを目的とした。男子学生スイマー1名に対して、次の3つのU設定(0.8、1.0、1.2m/s)でテストを行い、下肢の動きとスイマー後方の後流を比較した。運動解析にはモーションキャプチャシステムを、そして流れ場の可視化にはステレオPIVを使用した。その結果、Uが増加するにつれて、全方向(u、v、w)の流れ場の速度ベクトルが増加し、つま先の速度も増加することが明らかになった。また、Uが大きくなるにつれて、つま先の速度ベクトルのダウンキックによる外側への変化と、つま先の速度ベクトルのアップキックによる内側への変化が渦生成に影響を与え、流れ場の速度ベクトルの増加に寄与している可能性が示唆された。さらに、ダウンキックからアップキックへの移行時に、高いU条件では、渦の再捕捉が起きており、これが運動量の増加に寄与している可能性を示した。このことは、ダウンキックからアップキックへの移行が運動量の増加に重要な要因であることを示唆しており、UUSの遊泳速度を増加させるメカニズムを、運動と流れ場の関係から明らかにした世界で初めての研究である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Journal of Biomechanics
巻: 165 ページ: 112020~112020
10.1016/j.jbiomech.2024.112020
XIVth International Symposium on Biomechanics and Medicine in Swimming Proceedings
巻: 1 ページ: 353-358
巻: 1 ページ: 1-5
巻: 1 ページ: 349-352
巻: 1 ページ: 501-504
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20240308140000.html