研究課題/領域番号 |
20H04069
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
工藤 和俊 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30302813)
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研究分担者 |
三浦 哲都 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (80723668)
宮田 紘平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (30792171)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 運動スキル / 認知バイアス / コーディネーション / 呼吸 |
研究実績の概要 |
今年度は、様々な運動スキル発揮に共通する背景要因としての呼吸に着目し、単位時間あたりの呼吸数変化に伴う体幹胸部ー腹部の協調パターン変化およびその個人差について検討した。実験では、7.5~120 bpmまでの周波数での呼吸時における胸部および腹部の周径囲変化をウエアラブル呼吸センサを用いて計測し、計測値のヒルベルト変換によって算出された位相の差分(相対位相)より、腹部と胸部の協調パターンを1) 同相、2) 胸部先行、3) 腹部先行、4) 逆相の4種類に分類した。その結果、呼吸周波数が低いときには9割の参加者が同相パターンを示すのに対し、呼吸周波数が高くなると同相パターンは4割に減少し、胸部先行、腹部先行、逆相パターンがそれぞれ2割となり、パターン分化が認められることが明らかになった。 また、2種類の軌道で接近する目標に対する一致タイミング課題において、軌道に関する事前手掛かりが課題遂行時の視線方略および一致タイミングの正確さに及ぼす影響について検討し、軌道手掛かりが事前に与えられる場合においては複数の眼球運動方略が混在することによってタイミングの正確さが低下しうることが明らかになった。 さらに、運動の遂行中にリアルタイムで目標位置が変化するリーチング課題を用い、動作修正量を定量化する新たな手法を開発することにより、動作軌道が最終的な環境状態および動作修正のコストを考慮して調整されることを示しました。本研究手法は今後、環境変化の「先読み/予測」能力を明らかにするための一手法として用いることができると考えられる。 これらの知見を国際学会のシンポジウムおよび論文にて発表するとともに、動作構築の階層性および熟達化における脱力の意味に関する解説を執筆し、それぞれ書籍(分担執筆)として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度遂行した各研究について一部は論文が既に公刊され、それ以外についても学術誌に投稿する準備が進んでおり、さらに認知バイアスに関する和文解説の執筆が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた研究知見について専門学術誌にて公表するとともに、認知バイアスの克服法についての解説文をとりまとめる。また、正確さを要求されるエイミング動作の制御に関して、試行間の動作修正方略を明らかにする。さらに、音楽演奏やダンスに共通するリズミカルな体肢協調運動および正確さを要求される運動に関して、個人差の所在を明らかにするとともに、個人差に対応した学習環境の構築を試みる。
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