研究課題/領域番号 |
20H04071
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八田 秀雄 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60208535)
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研究分担者 |
北岡 祐 神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (30726914)
星野 太佑 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (70612117)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エストロゲン / アンドロゲン |
研究実績の概要 |
本年度は、運動時の乳酸を中心としたエネルギー代謝の性差について明らかにすることを目的として研究を進めた。まず、マウスを対象として性成熟の前後における骨格筋の解糖系および酸化系の酵素活性、代謝基質のトランスポータータンパク質量の変化について検討したところ、ホスホフルクトキナーゼや乳酸脱水素酵素の活性、グルコーストランスポーター(GLUT)4タンパク質量は雄マウスより雌マウスの方が高かった一方で、モノカルボン酸トランスポーター(MCT)4のタンパク質量は雄マウスより雌マウスにおいて低値を示した。また、トレッドミル走行時の呼吸交換比は、雌マウスでは雄マウスよりも低かった。次に、雄マウスの精巣を摘出する実験を行った結果、骨格筋のグリコーゲン濃度、乳酸脱水素酵素活性、クエン酸シンターゼ活性が低下し、トレッドミルランニングテストにおいて運動持続時間の低下が観察された。また、雌マウスの卵巣を摘出した実験においても、乳酸脱水素酵素の活性、ミトコンドリア呼吸鎖複合体I(NDUFB8)タンパク質量の低下が認められた。精巣摘出・卵巣摘出、いずれのマウスにおいても5週間の持久的トレーニングによって骨格筋ミトコンドリアの酵素活性とタンパク質量が増加し、トレッドミルランニングテスト中の呼吸交換比および血中乳酸濃度が低下した。これらの実験結果から、性ホルモンが骨格筋のエネルギー代謝に及ぼす影響が明らかになるとともに、性ホルモン欠乏による変化の一部は運動によって正常化されることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
精巣および卵巣を摘出するモデルを用い、性差に関する分析を詳細に行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
運動中の代謝物質の濃度変化についてメタボローム解析を実施するとともに、ピルビン酸の投与によって乳酸の産生量を変化させる実験を行う予定である。
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