昨年度までに構築した個別筋力特性簡易計測システムを用いて,2名の熟練スイマーを対象として筋力特性測定実験を行った.具体的には,速度については低速,中速,高速の3段階を設定し,ストローク動作については,通常,肩関節が水平屈曲気味,水平伸展気味,外旋気味,内旋気味の5種類とし,3×5=計15種類の試技を被験者1名あたりに対して実施した.ストローク動作の測定には,より高い測定精度が期待できる光学式モーションキャプチャーシステムを用いた.得られた測定結果より,肩関節発揮トルクもしくは上腕運動の角速度のどちらかがピークを迎える2つの瞬間での肩関節トルク合計30個を,既存の筋力特性データベースの修正に用いることとし,データベースの修正を行った.そして修正したデータベースを用いて最適化計算を実行した.また,最適化結果を検証するため,筋力特性測定実験を行った2名の被験者について,別途,全力泳の測定実験を行った.この実験では,被験者に屋内プールにおいてクロールで25mを全力で泳いでもらい,2台の水中カメラにより泳動作を撮影した.以上の結果,1名の被験者については,最適化によって求められた個別最適ストロークと,全力泳実験で撮影された実際の被験者のストロークに共通する傾向が見られ,かつ泳速度が両者でほぼ一致し,最適化計算の妥当性を示唆する結果が得られた.もう1名の被験者については,最適化計算で得られたストロークによる泳速度が実際より低くなり,筋力特性測定実験において全力を発揮できていなかった可能性が示唆された. 人間型スイマーロボットの全体を組み立て,動作試験を実施した.その結果,基本的な遊泳動作は問題なく行えることを確認した. 日本機械学会,国際スポーツ工学連合などの関連する国内・国際会議に研究代表者および研究協力者(学生)が参加し,成果発表や関連する研究の最新の情報収集を行った.
|