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2020 年度 実績報告書

腸内環境と骨格筋代謝のコミュニケーションに着目した運動効果の実験的・疫学的検証

研究課題

研究課題/領域番号 20H04080
研究機関京都府立大学

研究代表者

青井 渉  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60405272)

研究分担者 内藤 裕二  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00305575)
小山 晃英  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40711362)
井上 亮  摂南大学, 農学部, 教授 (70443926)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード骨格筋 / 代謝 / 腸内細菌 / 臓器連関
研究実績の概要

骨格筋はエネルギー代謝を担う主要な臓器であるが,その調節には液性因子による外的刺激が大きく影響を及ぼすことがわかってきたものの詳細は不明である。一方,腸内細菌が,血液成分に影響を与え,全身の臓器機能を修飾することが示唆されている。本研究は,腸内細菌叢,血液中胆汁酸,骨格筋代謝の関係を,動物,培養細胞,ヒトを対象とした研究により検討した。
運動を習慣化させたマウスの便を無菌マウス(レシピエント)へ移植したところ,安静マウスの便を移植したレシピエントと比較して,腸内細菌5属の割合が高値,50属の割合が低値であった。さらに,高脂肪食条件下において,運動マウス由来のレシピエントは血糖,血漿インスリンの上昇が緩やかであり,耐糖能の改善がみられた。このメカニズムを探索するため,骨格筋における代謝因子発現の網羅的解析を行い,発現プロファイルを得た。
血漿胆汁酸組成を検討したところ,移植一週間後,運動マウス由来のレシピエントにおいて,コール酸,ミュリコール酸の遊離型が高値であり,タウリン抱合型が低値であった。これら胆汁酸濃度と腸内細菌組成の間に,有意な相関がみられたことから,運動による腸内細菌叢変化が,胆汁酸の脱抱合を促進したことが考えられる。したがって,腸内環境が骨格筋代謝に干渉することが示唆され,臓器連関の観点からさらなる検証をすべき課題が示された。培養細胞を用いた試験においては,本試験に向けた胆汁酸の至適濃度について検討した。またヒトにおいても血液胆汁酸の検討を進めるため,実施中の疫学研究で収集された血液検体,基礎情報を解析するための準備を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

動物モデル試験において,骨格筋代謝因子の発現プロファイルを得たものの,影響を受けたシグナル伝達系,標的因子の抽出など詳細な解析は未達である。また,機器の故障等の影響により,予定していた遺伝子発現解析を完了することが出来なかった。

今後の研究の推進方策

動物モデル試験において,骨格筋代謝能を評価するため,発現プロファイルの解析,シグナル因子の活性レベルの解析を行う。これらの結果と,腸内細菌,血漿胆汁酸組成との関連について,ネットワーク解析等を駆使しながら,腸-循環-骨格筋の連関について考察する。
また,マウス由来骨格筋細胞を用いて,胆汁酸組成の違いが,糖取り込み能,インスリン依存・非依存糖代謝経路に及ぼす影響を評価する。
ヒト血漿中の胆汁酸組成と身体活動強度・量の関連についても検証する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] Karolinska Institutet(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      Karolinska Institutet
  • [雑誌論文] Astaxanthin-, β-Carotene-, and Resveratrol-Rich Foods Support Resistance Training-Induced Adaptation2021

    • 著者名/発表者名
      Kawamura, A., Aoi, W., Abe, R., Kobayashi, Y., Kuwahata, M., and Higashi, A.
    • 雑誌名

      Antioxidants

      巻: 10 ページ: 1~11

    • DOI

      10.3390/antiox10010113

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A milk casein hydrolysate‐derived peptide enhances glucose uptake through the AMP‐activated protein kinase signalling pathway in skeletal muscle cells2021

    • 著者名/発表者名
      Iwasa, M., Takezoe, S., Kitaura, N., Sutani, T., Miyazaki, H., and Aoi, W.
    • 雑誌名

      Experimental Physiology

      巻: 106 ページ: 496~505

    • DOI

      10.1113/EP088770

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Polysorbate 80‐induced leaky gut impairs skeletal muscle metabolism in mice2020

    • 著者名/発表者名
      Nishimura, S., Aoi, W., Kodani, H., Kobayashi, Y., Wada, S., Kuwahata, M., and Higashi, A.
    • 雑誌名

      Physiological Reports

      巻: 8 ページ: 1~8

    • DOI

      10.14814/phy2.14629

    • 査読あり
  • [学会発表] SPARC, a Muscle-secreted Protein, Improves Glucose Tolerance via AMP-activated Protein Kinase in Skeletal Muscle.2020

    • 著者名/発表者名
      Aoi, W., Sakuma, K., and Krook, A.
    • 学会等名
      Experimental Biology 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] 腸内環境に依存する液性因子による骨格筋代謝修飾作用2020

    • 著者名/発表者名
      青井渉
    • 学会等名
      第75回日本体力医学会大会 シンポジウム
  • [学会発表] 骨格筋の分泌機能とサルコペニア・フレイル2020

    • 著者名/発表者名
      青井渉
    • 学会等名
      第7回日本サルコペニア・フレイル学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 骨格筋機能におけるフードサイエンス2020

    • 著者名/発表者名
      青井渉
    • 学会等名
      第7回日本サルコペニア・フレイル学会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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