研究課題/領域番号 |
20H04083
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
堀田 典生 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (60548577)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / インスリン抵抗性 / 運動時循環調節 / 運動昇圧反射 / セントラルコマンド / 筋機械受容器反射 / 筋代謝受容器反射 / メカノバイオロジー |
研究実績の概要 |
本研究は,中枢インスリン抵抗性を呈するアルツハイマー病(AD)モデルラットを用いて,ADの病態が,運動昇圧反射に及ぼす影響を検討することを目的としている.Sprague-Dawley(SD)ラットの第三脳室内に,神経毒ストレプトゾトシン(STZ)を注入し,8週飼育することで,脳内インスリン抵抗性ADモデルラットを作成した.一定の強さで受動的に下腿三頭筋をストレッチさせることで,運動時の機械刺激を模擬した.その結果,平均血圧応答はSTZラットの方が低い傾向(P=0.078)が認められ,ADの病態は筋機械受容器反射を減弱させる可能性が示唆された.そこで本年度は,健常動物において,インスリン受容体拮抗薬を用いて循環中枢におけるインスリン抵抗性を模擬した際に,運動昇圧反射がどのように修飾されるのかを検討した. 健常SDラットを対象に,運動昇圧反射における一次中継核である延髄・孤束核(NTS)にインスリン受容体拮抗薬を投与するグループとその溶媒であるDMSO投与グループの2群を設けた.投与前,投与30分後,投与60分後において,下腿三頭筋のストレッチ(筋機械受容器反射)とカプサイシン投与(筋代謝受容器反射)に対する平均血圧と心拍応答を比較した. インスリン受容体拮抗薬投与群のストレッチに対する平均血圧応答はDMSO群と比較して有意に増大した(交互作用 P<0.01).心拍応答に有意な交互作用は認められなかった.カプサイシンに対する平均心拍応答の変化の仕方に2群間の有意差は認められなかったが,インスリン受容体拮抗薬投与群の心拍応答はDMSO群と比較して有意に増大した(交互作用 P=0.02). 以上より,NTSにおけるインスリン抵抗性の急性上昇は,筋機械受容器反射と筋代謝受容器反射を増強させる可能性を示唆した.(PI, UT Southwestern Medical Center, Masaki Mizuno ).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎臓交感神経活動の測定ができていないこと,ならびに,アルツハイマー病様動物の第四脳室にインスリン注入をした影響を検討できていないことから, おおむね順調とした.
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今後の研究の推進方策 |
急性の脳内インスリン抵抗性状態においては,アルツハイマー病(AD)モデル動物と異なり,筋機械受容器反射も筋代謝受容器反射も増大させた.急性の脳内インスリン抵抗性の変化であるため,運動昇圧反射を担う感覚神経が変容しているとは考え難い. 慢性的に脳内インスリン抵抗性を示すAD様病態においても,感覚神経の変容のみならず循環中枢における入力と出力信号の比(ゲイン)が低下している可能性が考えられた.そこで,慢性の脳内インスリン抵抗性が循環中枢のゲインに及ぼす影響を検討する. Sprague-Dawleyラットの第三脳室内に,神経毒ストレプトゾトシン(STZ)を注入し,8週飼育することで,脳内インスリン抵抗性ADモデルラットを作成する.ラットに除脳を施し,無麻酔・除脳状態にて,下腿三頭筋支配の頸骨神経軸索を電気刺激することで,感覚神経末端に位置するチャネルや受容体を介さずに循環中枢への上行性入力信号を生じさせる.その時の昇圧応答を,STZラットと対照ラットと比較する.具体的には,頸骨神経軸索電気刺激に対する反射性の心拍,血圧応答を測定する.
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