研究課題/領域番号 |
20H04087
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
水口 暢章 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 助教 (80635425)
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研究分担者 |
藤井 慶輔 名古屋大学, 情報学研究科, 助教 (70747401)
福谷 充輝 立命館大学, スポーツ健康科学部, 講師 (80722644)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 運動スキル |
研究実績の概要 |
チームスポーツにおいて味方選手と協調して攻撃・守備をする能力、すなわちチーム戦術を遂行する能力は個人のスキルや身体能力と同様に勝敗を分ける重要な要素であると考えられる。本研究の目的は、チーム戦術遂行能力もしくはそれらを反映すると考えられるポジショニング能力を評価し、その能力と関連する神経基盤を明らかにすることである。そのために、当初は、撮影した多量の試合映像から、機械学習アルゴリズムを用いて、各状況に応じた理想的なポジションを算出する集団運動モデルを作成し、各個人のチーム戦術遂行能力やポジショニング能力を評価し、その指標と関連する脳構造および脳活動を磁気共鳴画像法を用いて明らかにすることを計画していた。その際、チーム戦術遂行能力やポジショニング能力は個人スキルおよび体力要素とも関連すると考えられるため、それらも評価して解析する予定であった。本年度、当初予定していた集団スポーツは実施困難であったが、個人スキルを評価するシステムを構築した。具体的には、動作をビデオカメラに撮影し、機械学習を用いたマーカレス動作解析手法を用いて解析することで、各種運動スキルの評価を行った。再帰性反射マーカを使用しなくても各身体部位の座標を求められるようになったため試合中の動作も解析が可能になった。しかし、新型コロナ感染症の影響が長引き、実験として集団スポーツを実施できる見通しが立たなかったため計画変更を余儀なくされた。新しい推進方策として、チームスポーツ場面を模したシミュレーションゲームを作成し、各状況に応じた意思決定プロセスを解析する計画を立案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた集団スポーツは新型コロナ感染症の影響で実施困難であったが、個人スキルおよび体力要素を簡易に評価する方法を検討した。つまり、個人スキルおよび体力の測定は、体育館で実施する試合と合わせて行う計画であったため、動作解析室において3次元動作解析装置(赤外線カメラ)を用いて行うことは困難である。そこで、個人スキル(動作)をRGBビデオカメラにて撮影し、機械学習を用いたマーカレス動作解析手法を用いて解析することで、各身体部位の座標を求められるようになった。したがって、身体部位の座標の時系列データを解析することで各種運動スキルを評価できる。さらに、このシステムにより、再帰性反射マーカを使用しなくても動作解析が行えるようになったため、個人スキル解析だけでなく、試合中の動作も解析が可能になった。しかし、新型コロナ感染症の影響が長引き、実験として集団スポーツを実施できる見通しが立たなかったため計画変更を余儀なくされた。新しい推進方策として、チームスポーツ場面を模したシミュレーションゲームを作成し、各状況に応じた意思決定プロセスを解析する計画を検討してきた。
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今後の研究の推進方策 |
チームスポーツ場面を模したシミュレーションゲームを作成し、様々なシチュエーションにおいて、どのような判断をするかを解析することで、チーム戦術遂行能力もしくはそれらを反映すると考えられるポジショニング能力を評価する。シミュレーションゲームが完成したら、様々なシチュエーションを設定し、それらシチュエーション時の判断を解析する予定である。対象者はチームスポーツ経験者と未経験者とし、スポーツ経験の有無による違いやチームスポーツの競技歴と関連する指標を探索する。さらに、対象者の脳構造、脳機能を磁気共鳴画像法で計測・解析し、チームスポーツの戦術理解と関連する神経基盤を明らかにすることを目的とする実験を実施する予定である。
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