研究課題/領域番号 |
20H04096
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山本 倫也 関西学院大学, 工学部, 教授 (60347606)
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研究分担者 |
青柳 西蔵 東洋大学, 情報連携学部, 助教 (20646228)
長松 隆 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (80314251)
阪田 真己子 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (10352551)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 身体的インタラクション / ラバン理論 / 感情推定 / 身体動作表情 |
研究実績の概要 |
心理状態と身体運動の相関関係を規定する理論として、ラバン理論は、身体表現の分野で広く知られているが、動作解析への応用は進まなかった。申請者らは、独自に高品質な身体動作‐感情ビッグデータを構築・分析することで、この動作解析への応用に一つの解を与え、内面状態が言葉や顔表情よりむしろ身体動作を介して表出されることを示している。
本研究では、新たなデータ分析手法により、これらの性質の詳細を解明し、「身体動作表情」すなわち身体を介した感情表出の全体構造を明らかにする。具体的には、多数の実証環境で実験を行い、新たな実証環境におけるデータベースを構築することで、人による表出の仕方の違い、タスクの性質による違いを明らかにしている。さらに、機械学習とその結果への解釈性付与により「身体動作表情」の性質を詳細に明らかにして、知見を活用する基盤の確立を目指している。具体的には、(1)「身体動作表情」を解明するためのデータ分析手法の確立、(2)複数タスクでの実証環境ビッグデータの構築と「身体動作表情」表出特徴の理解、(3)機械学習の適用と解釈性の付与による「身体動作表情」活用基盤の確立、の3項目の研究を実施することとしている。
本年度は、(1)の「身体動作表情」を解明するためのデータ分析手法の確立においては、従来から行っているデジタルでのデザインタスクにおける分析を進めて、PCで1人で作業するような、動作が小さい場合であっても、身体動作が表出されることを明らかにした。(2)においては、折り紙の箱をデザインする状況を想定し、ロボットとのインタラクション実験を行い、身体動作および感情を計測した。(3)においては、(2)のデータによる分析を進め、立位と座位が混在する状況下での、感情推定技術を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により、研究開始から2か月間は大学がロックダウンされ、その後も対面での研究開発に大きな制約が課せられたため、(1)の分析のみ進める期間が続いた。また、対面での研究開発が一定程度緩和されて以降も、緊急事態宣言等により、実験協力者が参加することが難しく、結果として、(2)の実験が行えず、当初計画からの変更を行い、2か月の繰り越し申請を行った。 ただ、繰り越し期間の終了時点、2021年5月末における進捗状況としては、(2)の実験の実施、(3)の分析を行うことができていたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も、コロナによる活動制限が大きくのしかかり、当初計画していた、複数のタスクを実施し、共通の性質を見出す、という部分での遅れがどうしても生じており、当初計画からの変更を行っている。ただ、設備の導入により、ある程度は身体動作計測・処理の精度および速度向上、機械学習における計算能力の向上などが可能になると期待できるため、順調に研究開発を進めたい。
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