研究課題
我々はCRISPR-Cas9システムを用いてChREBP KOマウスを作製した。同マウスならびに野生型マウスにストレプトゾトシンを投与して糖尿病を発症させたところ、野生型マウスでは尿タンパク(アルブミン)の著明な増加ならびに腎機能(血中クレアチニン)の悪化が認められたのに対し、ChREBP KOマウスではこれらの抑制が認められた。従って、ChREBPは糖尿病性腎症の発症・増悪に関与していることが推定された。我々がChREBP活性の抑制を指標として化合物ライブラリーのハイスループットスクリーニングにより得られた新規化合物D-532は、1型・2型糖尿病性腎症モデルマウスにおいて著明な尿タンパク減少効果、腎機能改善効果、腎病理組織像改善効果を示したこと。ビオチン標識D-532を用いてChREBPとの直接結合を検討したところ、D-532とChREBPの直接結合が確認された。免疫沈降法を用いた検討により、ChREBPの核内移行に重要なLIDを含む1-340とDNA結合に重要なbHLH/ZIPを含む631-864がD-532と結合することが確認された。D-532とChREBPの直接結合は、in silicoによるアッセイにても確認された。D-532の作用機序をさらに確認したところ、D-532は高血糖に伴うChREBPの核内移行には影響を及ぼさなかった一方で、ChREBPの標的遺伝子への結合を抑制することが、クロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイにて確認された。以上の結果から、D-532がChREBPに結合してその標的遺伝子DNAへの結合を抑制することにより、糖尿病性腎症改善作用を示していることが示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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