研究課題
NPC1L1とABCG5/G8はステロールの消化管吸収や胆汁排泄を制御する輸送体として同定され、互いに逆方向の輸送を担う。申請者の研究から、これら輸送体はステロールのみならず様々な脂質・脂溶性栄養素の吸収/排泄も制御し、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)などの脂質関連疾患の発症・進行に深く関わることが明らかとなってきたが、その全体像の解明には至っていない。そこで、本研究は、両輸送体の生理的基質を網羅的かつ定量的に探索・同定し、両輸送体の活性バランスに基づく食事由来脂質の吸収/排泄制御機構の体系的理解を目指すこととした。また、NAFLDモデルマウスを用いた解析やヒト血液検体を用いた臨床的解析を通じて、同定された基質がNAFLDの発症・進行に及ぼす影響を明らかにし、脂質の体内動態と生理活性を考慮した病態生理学的に影響力の大きい新たな治療標的脂質を見出すことも目指している。昨年度(令和4年度)は、in vitro、in vivo、臨床的解析を組み合わせることで、NPC1L1の基質である2種類の酸化ステロール(22R-ヒドロキシコレステロールと25-ヒドロキシコレステロール)が脂肪肝増悪に主に関わることが明らかとなった。最終年度となる令和5年度はNPC1L1と逆方向の輸送を担うステロール排出トランスポーターABCG5/G8に着目して検討を進めた。ABCG5/G8のin vitro機能評価系を用いて、様々な食事由来脂質の輸送活性を検討した結果、ABCG5/G8が一部の酸化脂質の排出活性を有することが見出された。またABCG5/G8 遺伝子欠損マウスを用いた解析からも上記酸化脂質の吸収・排泄動態にABCG5/G8が関わりうることが見出された。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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