研究課題
肝糖取り込みは、グルコキナーゼとその活性調節タンパク質(GKRP)により制御される。研究代表者らは、過栄養・肥満において、GKRPアセチル化によるグルコキナーゼ活性阻害が、肝糖取り込み障害・高血糖の原因となることを報告している。しかし、過栄養・肥満では、グルコキナーゼ活性化も、非アルコール性脂肪性肝疾患や耐糖能障害を誘導することが知られている。そのため、糖脂質代謝恒常性におけるグルコキナーゼ/GKRP・肝糖取り込みの役割とその制御の解明は進んでいない。本研究課題では、グルコキナーゼ/GKRP機能に関わる変異マウスを用い、生活習慣病におけるグルコキナーゼ/GKRP・肝糖取り込みの役割を解明した。2022年度には、GKRP変異マウス(126番リジン残基点変異)の表現型の解析を行った。GKRP126番リジン残基点変異マウスでは耐糖能の変化を呈するが、特にアセチル化模倣変異では、肝糖取り込み障害による耐糖能の低下を、非アセチル化模倣変異では耐糖能の増強を呈する事を明らかにしている。肝糖取り込みの恒常的な活性化は、非アルコール性脂肪性肝疾患を増悪させることが知られている。2022年度には、GKRP126番リジン残基点変異マウスの非アルコール性脂肪性肝疾患への作用の解明を行った。具体的には、脂肪肝での糖取り込み障害を抑止し、耐糖能を増強する非アセチル化模倣変異において、脂肪肝が軽減することを見出した。これらの知見から、GKRPアセチル化が糖・エネルギー代謝異常と非アルコール性脂肪性肝疾患の両者に対する治療標的分子である可能性を示唆した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nat Commun.
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https://inoue.w3.kanazawa-u.ac.jp/index.html