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2023 年度 実績報告書

老化によるストレスレジリエンスの破綻とオリゴデンドロサイト新生のニッチ

研究課題

研究課題/領域番号 20H04105
研究機関九州大学

研究代表者

神野 尚三  九州大学, 医学研究院, 教授 (10325524)

研究分担者 古江 秀昌  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20304884)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードストレスレジリエンス / 加齢 / 海馬 / オリゴデンドロサイト / ミエリン
研究実績の概要

近年、加齢によってストレスレジリエンス (ストレスに対する抵抗性と回復力) が低下する可能性が指摘されているが、そのメカニズムは不明である。本年度の研究では、中枢神経系のグリア細胞の一種であるオリゴデンドロサイトに着目し、加齢によるストレスレジリエンスの変化への関与を検討した。若齢マウスに軽度の拘束ストレスを負荷し、強制水泳試験を行ったところ、うつ様行動は認められなかった。一方で、同じ強度のストレスを与えた加齢マウスでは、うつ様行動が認められた。免疫組織化学的解析では、ストレスを負荷した加齢マウスでは、コントロール群の加齢マウスに比較して、海馬のオリゴデンドロサイトの密度が減少していた。RT-qPCRでは、ストレスを負荷した加齢マウスにおいて、海馬のオリゴデンドロサイト関連遺伝子やミエリン関連遺伝子の一部で発現レベルが低下していた。また、ウエスタンブロットでは、ストレスを負荷した加齢マウスにおいて、海馬のミエリン塩基性タンパク質の発現レベルが低下していた。一方で、若齢マウスでは、ストレスによるオリゴデンドロサイトの減少や、ミエリン関連分子の発現変動は認められなかった。また、ストレスを負荷した加齢マウスに対し、オリゴデンドロサイトの増殖を促進するベンズトロピン (ムスカリン受容体拮抗薬) を投与したところ、うつ様行動の減少とミエリン関連遺伝子の発現上昇が認められた。さらに、リゾホスファチジルコリン (LPC) を海馬に注入し、ミエリンを分解した加齢マウスの行動解析を行ったところ、ストレス脆弱性が高まる結果が得られた。以上の成果は、加齢によるストレスレジリエンスの低下には、海馬のオリゴデンドロサイトの機能不全が関与していることを示唆するものであり、オリゴデンドロサイトに着目した新たなうつ病対策の可能性を示唆している。

現在までの達成度 (段落)

令和5年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和5年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Altered regulation of oligodendrocytes associated with parvalbumin neurons in the ventral hippocampus underlies fear generalization in male mice2023

    • 著者名/発表者名
      Yamada Jun、Maeda Shoichiro、Tojo Miori、Hayashida Miyuki、Iinuma Kyoko M.、Jinno Shozo
    • 雑誌名

      Neuropsychopharmacology

      巻: 48 ページ: 1668~1679

    • DOI

      10.1038/s41386-023-01611-6

    • 査読あり
  • [学会発表] 抗がん剤投与による情動行動の変容と海馬のオリゴデンドロサイトの機能不全2024

    • 著者名/発表者名
      越智亮介、田中秀知、大島佑人、飯沼今日子、山田純、神野尚三
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会全国学術集会
  • [学会発表] マウスのコカイン嗜癖行動の再燃に対するケタミンの抑制作用2024

    • 著者名/発表者名
      山田純、前田祥一朗、飯沼今日子、神野尚三
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会全国学術集会
  • [学会発表] がん細胞株移植マウスにおける認知機能障害とJanus kinase阻害薬による実験的治療2024

    • 著者名/発表者名
      大島佑人、山田純、飯沼今日子、神野尚三
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会全国学術集会
  • [学会発表] 恐怖記憶の汎化における海馬のペリニューロナルネットの関与2024

    • 著者名/発表者名
      中村朱里、山田純、飯沼今日子、神野尚三
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会全国学術集会
  • [学会発表] コカイン嗜癖モデルマウスにおける海馬のオリゴデンドロサイトの機能変調2024

    • 著者名/発表者名
      野見山智樹、山田純、飯沼今日子、神野尚三
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会全国学術集会
  • [学会発表] 研究者自身のプログラミングによる画像解析-有用性とその課題-2023

    • 著者名/発表者名
      神野尚三
    • 学会等名
      日本顕微鏡学会第33回電顕サマースクール
    • 招待講演
  • [学会発表] 現代の脳科学に基づく心身相関の新たな理解2023

    • 著者名/発表者名
      神野尚三
    • 学会等名
      第27回日本心療内科学会総会・学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Possible involvement of hippocampal neurogenesis in cocaine-seeking behavior in young and middle-aged mice2023

    • 著者名/発表者名
      Jun Yamada, Shoichiro Maeda, Kyoko Iinuma, Shozo Jinno
    • 学会等名
      第46回日本神経科学大会
  • [学会発表] Potential involvement of hippocampal oligodendrocytes in age-related decline in stress resilience2023

    • 著者名/発表者名
      Ayumi Okamura, Jun Yamada, Kyoko Iinuma, Shozo Jinno
    • 学会等名
      第46回日本神経科学大会
  • [学会発表] 細胞外マトリックスに着目した認知症治療の新たなアプローチ2023

    • 著者名/発表者名
      神野尚三
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
  • [備考] 九州大学 大学院医学研究院 神野研究室

    • URL

      https://anat.neurosci.kyushu-u.ac.jp/index.html

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公開日: 2024-12-25  

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