本研究課題では、筋組織内にて運動により一過性に形成される好中球が集積する微小環境(運動筋ニッチ)における異細胞種間の相互的機能連携のシステム制御機構を明らかにすることを目的とした。その結果、咬筋運動モデルでは筋運動依存性の好中球動員にフラクタルカインシグナル系が関与し、走行運動モデルではフラクタルカイン系に加えCXCケモカイン類シグナル系の両経路の活性化が不可欠であった。さらに運動筋ニッチは「運動免疫ネットワーク制御の起点」として、当該骨格筋の機能(糖取込と抗疲労作用)を高めるのみならず、内分泌的作用をもつマイオカインの分泌調節を介して全身性の運動効果伝搬にも深く関与していることが考えられた。
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