研究課題
私たちの多くは単相性睡眠という行動様式をとっており、夕食から翌日の朝食までの睡眠時間を含めた半日を絶食で過ごし、残りの半日で1日分のエネルギーを摂取する生活様式をとっている。このように、昼と夜とではエネルギー代謝の様相が一変するので、これに上手に対処する能力が「代謝の柔軟性」として最近 注目を集めている。本研究は酸化基質の日内変動について、呼吸交換比(RQ:respiratory quotient)を主な指標とし、睡眠時も間接熱量測定を続けて行うことにより、「代謝の柔軟性」の個人差を規定する要因を解析することを目的としている。睡眠時のエネルギー代謝測定には、呼気採取のためにマスク等を装着する必要のないヒューマン・カロリメータを用い、その時間分解能を世界最高水準に高めて解析を行っている。また、睡眠時のエネルギー代謝は睡眠の質にも影響を受けることが明らかとなっているので、間接熱量測定に並行して睡眠脳波測定も行う測定令を増やしている。多様な対象者のデータを解析するために、1)申請者らが2003年から行ってきたエネルギー代謝研究のデータで、運動やサプリメント摂取がエネルギー代謝に及ぼす影響を検討した研究の対照試行のデータを他の研究と比較できるようデータベース化する。2)女性や高齢者等、これまでに蓄積の少ない対象者のエネルギー代謝データを獲得する。3)他研究施設とのデータ共有を検討する。という三通りのアプローチから研究を進めた。
3: やや遅れている
コロナ禍の影響で測定の計画にやや遅れが生じ、研究費の一部を繰り越して執行した。
老若男女、健常人と有疾患者など多様なデータを総合的に俯瞰することで睡眠時エネルギー代謝における個人差の要因が理解できるようになると考えている。従って、他研究施設とのデータ共有が大切だと考えて今後の研究を推進したい。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
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