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2021 年度 実績報告書

腸内細菌代謝物による消化管ホルモン分泌制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H04121
研究機関東京大学

研究代表者

坪井 貴司  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80415231)

研究分担者 北口 哲也  東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (60432374)
原田 一貴  東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60830734)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード消化管ホルモン / 腸内細菌 / イメージング
研究実績の概要

これまでに、認知症やメタボリックシンドローム、自閉スペクトラム症との関連が指摘されている腸内細菌代謝物を小腸内分泌細胞株や急性単離小腸に投与すると、消化管ホルモン(グルカゴン様ペプチド1、GLP-1)が分泌されることを見出していた。
そこで本年度は、小腸内分泌細胞株に細胞内Ca2+、cAMP、cGMP、さらに細胞内グルコースやATPの濃度測定を可能にする蛍光タンパク質センサーを細胞に遺伝子導入し、腸内細菌代謝産物の投与によって影響を受ける細胞内情報伝達経路の同定を行った。解析の結果、小腸内分泌細胞株に腸内細菌代謝物の1つであるL-フェニルアラニンの投与によりGLP-1分泌が強力に引き起こされることが明らかになった。
細胞へのL-フェニルアラニン投与は、細胞内Ca2+濃度上昇を引き起こした。一方、L-フェニルアラニン投与は、細胞内cAMP濃度変化を引き起こさなかった。また、細胞内ATPやグルコース濃度変化も引き起こさなかった。次に、L-フェニルアラニン受容体候補の1つであるG protein-coupled receptor 142(GPR142)を阻害し、細胞内シグナル伝達への影響を解析した。その結果、GPR142受容体阻害によって、細胞内Ca2+濃度上昇が有意に抑制された。また、Gqタンパク質の阻害剤投与時にも、L-フェニルアラニン投与時に見られる細胞内Ca2+濃度上昇が有意に抑制された。これらの結果から、GPR142は、Gqタンパク質と共役し、小腸内分泌細胞株においてL-フェニルアラニン受容体として機能し、GLP-1分泌調節に関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度予定していた実験を行うための実験機器を新たに購入して行う予定にしていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響による半導体の供給不足によって実験装置の納期の遅延が起こってしまった。そのため、当初予定していた実験の一部を行うことができなかったため。

今後の研究の推進方策

小腸内分泌細胞株に腸内細菌代謝物の1つであるL-アルギニンの投与によりGLP-1分泌が強力に引き起こされた。そこで、細胞内Ca2+、cAMP、cGMP、さらに細胞内グルコースやATPの濃度測定を可能にする蛍光タンパク質センサーを細胞に遺伝子導入し、L-アルギニン投与によって影響を受ける細胞内情報伝達経路の同定を試みる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Identification of a regulatory pathway of L-phenylalanine-induced GLP-1 secretion in the enteroendocrine L cells2022

    • 著者名/発表者名
      Osuga Yuri、Harada Kazuki、Tsuboi Takashi
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 588 ページ: 118~124

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2021.12.043

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of red genetically encoded biosensor for visualization of intracellular glucose dynamics2022

    • 著者名/発表者名
      Mita Marie、Sugawara Izumi、Harada Kazuki、Ito Motoki、Takizawa Mai、Ishida Kentaro、Ueda Hiroshi、Kitaguchi Tetsuya、Tsuboi Takashi
    • 雑誌名

      Cell Chemical Biology

      巻: 29 ページ: 98~108.e4

    • DOI

      10.1016/j.chembiol.2021.06.002

    • 査読あり
  • [学会発表] .L-フェニルアラニンによるグルカゴン様ペプチド-1分泌調節機構2021

    • 著者名/発表者名
      大須賀佑里, 原田 一貴, 坪井 貴司
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会
  • [学会発表] 腸内細菌叢と消化管内分泌細胞との機能連関2021

    • 著者名/発表者名
      坪井貴司
    • 学会等名
      日本化学会第101春季大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 腸内細菌叢と消化管内分泌細胞との機能連関.2021

    • 著者名/発表者名
      坪井貴司
    • 学会等名
      第74回日本自律神経学会総会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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