研究課題/領域番号 |
20H04122
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂本 雅行 京都大学, 生命科学研究科, 特定准教授 (00777865)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カルシウムイメージング / 4Dイメージング / 嗅球 / 高次脳機能 |
研究実績の概要 |
ヒトを含めた哺乳類の生後発達期の脳においても神経幹細胞が存在し、ニューロン新生が起こっている。側脳室周囲・脳室下帯で産まれた新生ニューロンは顆粒細胞として嗅球神経回路に組み込まれる。ところが、これら新生ニューロンが嗅覚依存的な学習過程において、どのように機能しているかについてはよく分かっていない。本研究では、多光子励起顕微鏡を用いた生体イメージング技術を用いて、新生ニューロンの機能的意義について、回路レベルで明らかにすることを目標としている。 令和3年度は、令和2年度に確立したイメージング技術を応用して、2光子励起顕微鏡下で嗅覚依存的な弁別課題をおこない、嗅覚学習の過程で顆粒細胞および新生ニューロンの活動がどのように変化するのか、経時的な観察をおこなった。まず、イメージングに用いるカルシウムセンサーやプロモーターの検討をおこない、嗅球・顆粒細胞層のニューロン(深さ約500μm)から200-300個同時に活動が記録できるようになった。次に顆粒細胞層の経時的なイメージングをおこなったところ、ニューロン毎に匂いに対する応答が学習の過程でダイナミックに変化していることが明らかとなった。特に、報酬と関連付けをおこなった匂いに対して応答するニューロンについては、学習前後で興奮性に働く割合が優位に増加していた。さらに、機械学習を用いた解析により、弁別課題に用いた匂いはニューロンの活動からも区別できていることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度の目標であった、嗅覚学習課題中のニューロンの経時的な活動計測をおこなうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
匂いに対する活動のダイナミックな変化が起こる回路メカニズムを明らかにする。
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