研究課題/領域番号 |
20H04125
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
桑原 知巳 香川大学, 医学部, 教授 (60263810)
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研究分担者 |
豊田 敦 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 特任教授 (10267495)
刑部 有希 (杉島有希) 至学館大学, 健康科学部, 准教授 (10584948)
世良 泰 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20819643)
川崎 淨教 香川大学, 農学部, 准教授 (30739206)
高見 英人 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (70359165)
今大路 治之 (中山治之) 香川大学, 医学部, 講師 (80294669)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 骨格筋減少症 / 腸内フローラ / 機能メタゲノム / 栄養摂取 |
研究実績の概要 |
超高齢化社会を迎え、健康寿命の延伸が喫緊の課題となっている。腸内フローラは宿主の栄養吸収、免疫、精神活動と密接に関連し、筋肉組織の代謝にも大きく影響する。加齢に伴う筋肉量減少(サルコペニア)は要介護状態へ移行する大きな要因であり、その背景には高齢化に伴う筋肉組織の同化抵抗性(アナボリックレジスタンス)がある。アナボリックレジスタンスの解消は筋タンパク質合成を維持し、サルコペニア予防の鍵となる。本年度はマスターズ陸上の参加者より協力の得られた高齢者21名の腸内フローラの組成解析と便中短鎖脂肪酸定量を行った。その結果、門レベルの腸内フローラ組成に基づくクラスター解析によりA, B, Cの3つのグループに区分された。このグループ化に大きな要因を与える菌群はBacteroidetes, Firmicutes、Actinobacteria、Proteobacteria、EuryarchaeotaおよびVerrucomicrobiaであり、AはEuryarchaeota およびVerrucomicrobia、BではFirmicutes、CではActinobacteriaが他のグループと比較して優位であった。便中短鎖脂肪酸定量では明確なグループ化はできなかったが、コハク酸とiso-吉草酸、n-酪酸が高いグループが検出された。便中短鎖脂肪酸のパターンは腸内フローラ菌組成と相関しておらず、今後、菌組成と強い相関を示す機能モジュールを検索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス 感染症により、高齢者の陸上競技大会の開催が全面的に中止されていた。昨年度より感染対策を実施して開催され始めており、高齢者アスリートのサンプリングと解析は順調に進んでいる。一方、一般高齢者の参加する行事は未だ慎重な運用が継続しており、明確な比較対照としてのデータ収集が若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
一般高齢者のサンプル収集が若干遅れていることから、分担研究者の刑部と協力して名古屋市内の高齢者福祉施設を中心に協力機関と交渉を始めており、本年度に検体提供を受けられる見込みである。高齢者アスリートについては目標数の50に近い40検体を用いた解析を継続して進める。最終的には本年度内に全データの比較解析を行い、筋力維持と相関する腸内フローラ機能の同定を完了させる。
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