研究課題
基盤研究(B)
本研究ではマウス脳出血モデルを用いて、脂溶性ビタミンであるビタミンAあるいはその類縁体を連日経口投与すると運動機能改善効果と神経細胞保護効果が得られることを示した。また、ラット培養脳組織切片を用いてビタミンA類縁体の作用メカニズムの一端を明らかにした。同じく脂溶性ビタミンであるビタミンK同族体についても脳出血誘発後の運動機能障害を軽減する効果を見出した一方、ビタミンK同族体は脳組織保護の観点においてビタミンA類縁体とは異なる作用特性を示すことも見出した。
神経薬理学
本研究の成果は、十分な治療法の確立されていない脳出血(出血性脳卒中)に対して脂溶性ビタミン類の強化補給が有効である可能性を提示しており、脳病理の制御に立脚した新たな栄養学的管理法の提案につながるものである。脳出血を適応疾患とする医薬品の開発は世界的に見ても遅々として進んでいないが、本研究の成果を契機として脳卒中後のケアにおける積極的な栄養管理・強化補給の概念が確立されれば、医薬品に依存しない新たな医療介入法を提供できる。