研究課題/領域番号 |
20H04139
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
ルガル フランソワ 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (50584299)
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研究分担者 |
泉 泰介 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20432461)
平原 秀一 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (80848440)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 量子アルゴリズム / 量子分散計算 / 量子計算量理論 |
研究実績の概要 |
量子アルゴリズムの開発および量子コンピュータの計算能力の究明について、様々な側面から研究を推進し、数多くの成果を得た。 まず、量子機械学習アルゴリズムの研究に取り組んだ。量子アルゴリズムの設計ツールとして、2019年にGilyen等によって提案された量子特異値分解というフレームワークに着目し、量子特異値分解の「脱量子化」を行うことによって、機械学習の様々な問題に対して、量子計算にインスパイアされた斬新な古典アルゴリズムの構築に成功した。 次、量子分散計算の研究に取り組んだ。分散検証という枠組みにおいて、量子分散検証アルゴリズムの優位性を初めて証明できた。具体的に、ネットワークの各頂点に入力(長いビット列)が与えられたとき、それぞれの頂点の入力がすべて等しいか判定する問題に対して、古典プロトコルによる検証は困難であることと、量子計算および量子通信を用いて効率よく検証できることを証明した。 さらに、与えられたグラフが特定な構造を部分グラフとして持つか判定する問題に着目した。分散計算の枠組みで、様々な構造(完全グラフや閉路)に対して、高速な古典アルゴリズムを構築し、量子アルゴリズムによる更なる高速化についても調査した。計算量の枠組みでは、その特定な構造は何回現れるかという数え上げ問題の平均時計算量に着目し、完全2部グラフに対する平均時困難性を証明することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子アルゴリズムや計算量理論について、様々な側面から数多くの成果を得て、その結果を理論計算機科学の重要な国際会議および査読付き国際論文誌で発表することができている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、量子特有の効果を生かした量子アルゴリズムの開発および量子コンピュータの計算能力の究明を目指す。
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