研究課題/領域番号 |
20H04155
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石原 亨 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (30323471)
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研究分担者 |
納富 雅也 東京工業大学, 理学院, 教授 (50393799)
塩見 準 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (40809795)
増田 豊 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (60845527)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 計算機システム |
研究実績の概要 |
本応募課題は、光と電子が密に融合する光電融合集積回路のアーキテクチャと設計技術を構築することにより、光電融合集積回路における遅延-電力-面積のトレードオフ限界を明確にし、光電融合集積回路の最適な構成を明らかにするものである。上記目的のために、下記の3項目に取り組んだ。 1)回路設計段階で光電融合集積回路の遅延、電力、面積を正確に見積もるモデルを構築する。2)光電融合集積回路に対する回路アーキテクチャレベルの設計最適化技術を構築する。3)光電融合集積回路をニューラルネットなどの非ノイマン型演算回路に適用し性能を評価する。上記3項目を目的として、初年度(2020年度)は、光電融合集積回路の回路遅延、消費電力、回路面積の見積もりモデルを作成した。特に、光集積回路の電力消費メカニズムは電子回路とは大きく異なるため、電子回路には存在しない光の分岐や合流干渉にともなう電力損失を明らかにし、アーキテクチャレベルの消費電力モデルを構築した。2021年度は応募者が過去に開発した光信号の多重化による並列演算技術および各種低消費電力化手法を光ニューラルネットワーク回路に適用する手法の検討を行った。多重化に関しては既に波長分割多重方式(WDM: Wavelength Division Multiplexing)を活用した並列演算方式を論文発表しているが、2021年度は波長分割多重方式を光ニューラルネットワークに適用して波長数に比例した並列数で積和演算を実行する方法を検討した。さらに、1年目(2020年度)に構築した遅延・電力・面積のモデルに基づいて、光電融合集積回路を最適に設計するアルゴリズムを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は年度ごとに遂行することを予定していた下記の3項目を、初年度から並行して進行させることができ、2021年度末までに、国内会議1件、国際会議4件、国際論文誌2件で発表する成果を上げた。 1)回路設計段階で光電融合集積回路の遅延、電力、面積を正確に見積もるモデルを構築する。2)光電融合集積回路に対する回路アーキテクチャレベルの設計最適化技術を構築する。3)光電融合集積回路をニューラルネットなどの非ノイマン型演算回路に適用し性能を評価する。研究計画における理論的な側面では当初の計画以上に進展している。 一方で、コロナ感染症の影響により、一部の実チップ解析を伴う遅延、電力、面積の評価モデル構築に関しては研究の遂行が遅延したが、全体の研究スケジュールを見直し、理論的解析および光演算器に対する省電力化アルゴリズムの研究を前倒ししたことによって当初のスケジュールに回帰し、研究全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染症の影響により、一部の実チップ解析を伴う遅延、電力、面積の評価モデル構築に関しては研究の遂行が遅れたが、研究スケジュールを見直すことにより全体としておおむね順調に研究が進展している。今後は、初年度に構築した遅延、電力、面積の評価モデルに基づいて、光ニューラルネットワークの回路構造を最適化し、遅延を劣化させることなく電力と面積の削減を目指す。また、初年度と第2年度はニューラルネットワークの中で最もシンプルな多層パーセプトロンのみを対象に研究を行ったが、最終年度は、光と電気が有機的に融合する回路にとって本質的に適した回路アーキテクチャを見極める。初年度における様々な光電融合回路アーキテクチャの探索によって、リカレントニューラルネットワークが光電融合演算にとって非常に親和性が高い応用であることを見出した。そこで、2年度目以降はリカレントニューラルネットワークの光電融合回路実装に関する研究を実施した。リカレントニューラルネットワークの光電融合回路実装に関しては既に論文投稿を行い、成果が出始めている。最終年度はより具体的な応用としてリアルタイム画像認識を対象に、畳み込みニューラルネットワークの光回路実装を検討する。畳み込みニューラルネットワークの一部には、2年度目以降から検討を行っているリカレントニューラルネットワークのアイデアを取り入れる。全体の研究スケジュールを見直し、理論的解析および光演算器に対する省電力化アルゴリズムの研究を前倒しすることによって、当初の予定通り研究を完了できる見込みである。
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