研究課題/領域番号 |
20H04163
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
加藤 和彦 筑波大学, システム情報系, 教授 (90224493)
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研究分担者 |
長谷部 浩二 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80470045)
岡 瑞起 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10512105)
阿部 洋丈 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00456716)
町田 文雄 筑波大学, システム情報系, 准教授 (50842209)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生成的ロギング / クラウドコンピューティング / ソーシャルネットワーク / アクセスパターン |
研究実績の概要 |
今年度は、まず生成的ロギングを実現するためのモデルの構築およびプロトタイプの実装を行なった。生成的ロギングのモデルについては、模倣的なアプローチによるものとモデルベースのアプローチによるものの2つの方向性から構築を目指した。前者は、イベント発生の時系列にのみ着目し、その分布を模倣した時系列の生成を目指すものである。ユーザやシステムに対する深い知識を要しないため、幅広い対象に適用が可能であるという利点がある。一方後者は、システムの利用者の背景にある関係をモデル化し、それに基づいて時系列の模倣を試みるというものである。今年度は、これらのアプローチから生成的ロギングによるモデルを構築およびシミュレータの作成を行い、実際に擬似的なログの生成が行えることを示した。特に、研究代表者等による先行研究で得られた現実のSNSでのアクセスログとの類似性を確認することができた。 また、上記で得られた成果をもとに、省電力ストレージの設計および評価を行い、その結果を国際会議GECON2020にて発表した。一方、シミュレーションの効率化を目指して、複数のCPUコアによる並列シミュレーションを可能とする枠組みを実装した。 以上で述べた研究に加え、今年度はその成果の派生として、Popular Data Consentration(PDC)をもとにしたストレージシステムの省電力効率の理論的解析も行なった。具体的には、PDCにおけるファイル配置による省電力化を組み合わせ最適化問題として定式化し、確率的なモデルによって性能を評価するというものである。以上の結果をまとめた論文は、雑誌IEEE Transactions on Sustainable Computingに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当初目標としていた生成的ロギングのモデルの構築ならびにシミュレータの開発が、ほぼ予定していた形で実現できた。また、このシミュレータを用いて実際のストレージシステムの設計や評価を行うこともできた。さらに本研究課題の遂行による派生として、PDCをもとにしたストレージシステムの確率的アプローチによる省電力性能の理論的解析手法の構築も行うことができた。以上の研究成果は、国際雑誌ならびに国際会議でも発表することができ、当初の計画通りに順調に初年度の目標を達成したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画としては、まず生成的ロギングのモデルおよびシミュレータの構築については、現実のSNSにおけるアクセスパターンとのより詳細な比較を行うことを目指す。特に、これまで研究代表者らによる先行研究で得られているFlickrやYouTube、Dailymotion、500pxといった様々なアクセスログと、生成的ロギングによる擬似的なログとの理論的な比較を行うことにより、現実のSNSのアクセスパターンをどれだけ忠実に模倣できるのかを明らかにしたいと考えている。 また、上記で得られた生成的ロギングによるシミュレータをもとに、今年度に設計したものよりも多くの階層構造を持つストレージシステムの設計や評価を試みることを計画している。
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