研究課題/領域番号 |
20H04171
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
北口 善明 東京工業大学, 学術国際情報センター, 准教授 (30537642)
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研究分担者 |
石原 知洋 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60588242)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ネットワーク診断 / ネットワーク運用自動化 / エキスパートシステム |
研究実績の概要 |
令和2年度は、提案手法における障害事例共有知の構築に向けた共有知データ構造の定義を進めた。また、変動するネットワーク障害検出において利用するための、多数のセンサデバイスを統合制御する仕組みを構築した。 共有知データ構造形式の評価に際して、プロトタイプ実装を用いた実証実験において評価を進める予定としていたが、COVID-19の影響により検証に活用する予定の大規模イベントが中止となったことで、評価手法の変更を余儀なくされた。加えて、ネットワーク障害情報共有に向けたワーキンググループ設立に向けた取り組みに関してもCOVID-19による制約を受け、ネットワーク運用者との議論を密に取ることが困難となり、当初予定していた取り組みを達成できなかった。そこで、当該年度に導入予定としていた機械学習用サーバの導入と整備に注力し、開発環境の構築を実施した。また、ネットワーク状態の継続的な計測への取り組みとして、インターネット上に配置した性能計測サイト:iNoniusスピードテストサイトと連携し、継続的なネットワーク品質計測の仕組みを確立し、2020年時点における日本のインターネット分析を実施して報告した。 変動するネットワーク障害検出においては、多数のセンサデバイスを活用した無線LAN環境の評価を目指し、計測ノードを統合管理するためのエージェントシステムを開発した。Raspberry Pi上での動作を想定し、計測ノード上のエージェントが管理システムに都度問い合わせすることで制御する仕組みで、数十台規模での実証実験を行った。また、コンテナ技術を活用し、物理的な計測ノードによる複数ネットワーク環境の評価を検討し、適用範囲と課題点を整理し報告した。これらの実装および検討を次年度の評価実験に活用する予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
提案手法の検討・実装・評価において、ネットワーク運用者との議論を密に実施する必要があったが、COVID-19の影響により、多くの会合が中止となったことから計画を大幅に変更することとなった。加えて、提案手法の評価においても想定していた評価環境が大きく変化したことを受け、評価手法の修正が必要となった。 以上のことから、当初の計画を変更し、実環境下における評価実験等を次年度に繰り越す対応とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で遂行する3つの研究テーマにおいて、次年度は以下の内容を遂行する計画としている。 ネットワーク障害事例共有知の構築手法の研究では、提案するネットワーク障害事例共有知の構築に向け、今年度定義した共有知データ構造を用いたデータベースを、実データを用いて構築し評価を進める。実データに関しては、当初評価に予定していたキャンパスネットワークの環境が大きく変化したことを受け、評価方法の修正を行いつつ進める予定としている。 ネットワーク運用ログを用いたネットワーク状態把握手法の研究では、今年度導入した機械学習用サーバを活用し、ネットワーク運用ログを用いたシステムログ分析手法の評価を実施する。並行して、昨年度COVID-19の影響を受け実施が叶わなかったネットワーク障害情報共有に向けたワーキンググループ設立を目指し、ネットワーク運用者との議論を進める予定としている。 変動するネットワーク障害検出の研究では、多数のセンサデバイスによるネットワーク計測を定常的に実施し、集取した計測情報とネットワーク障害情報との関連性を評価する。多数のセンサデバイス操作に関しては、今年度作成した運用管理ツールの評価実験を実環境にて実施し、より多くのネットワーク環境による評価を実施する。合わせて、無線ネットワークにおける環境情報評価指標を検討し、引き続き評価可能な計測項目の選定を進める。
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