2023年度は,当初,1)人体への影響軽減(シールド)方法の検討,2)装着者の動作における効率変化の評価,3)統合的なウェアラブルシステムの実現を目標とした.しかしながら,研究を進める過程において装着中の効率変化の測定・評価が非常に困難であることがわかり,一部方針を変更して研究を遂行し,これまでの研究におけるコイル形状変化のパラメータとして,評価が不足していた「曲げ」について,人体の各部位おける曲げ半径をパラメータ化してその影響の傾向を分析した. 形状については,正方形,六角形,円形,三角形を組み合わせでは,各曲げ半径において正方形同士の組み合わせが最も効率,ズレ耐性共に優れた結果を示した.また,サイズについては,より大きいコイルを組み合わせた方がズレ耐性に優れる傾向にあることがわかった.また,曲げ半径が小さくなる(曲げが強くなる)につれ,ズレ耐性が低下する傾向となることがわかった.さらに,それぞれの傾向は曲げ方向が異なった場合も,同様の傾向が見られることがわかった.これらの結果から各曲げ条件においても,コイルサイズを5cmもしくは10cmmのサイズとし,正方形同士の組合わせを用いることでズレ耐性を含めて高効率化が望めることが解った. 加えて,人体への影響軽減については,定量的な評価は行えていないもののフェライトや導電性の物質で作成した箔やメッシュを配置することでその影響を低減できることを確認した.
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