研究課題/領域番号 |
20H04178
|
研究機関 | 公立千歳科学技術大学 |
研究代表者 |
吉本 直人 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (60619550)
|
研究分担者 |
桑野 茂 大同大学, 情報学部, 教授 (20761513)
丸田 一輝 東京工業大学, 超スマート社会卓越教育院, 特任准教授 (30801170)
久野 大介 大阪大学, 工学研究科, 助教 (40802088)
中山 悠 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80802058)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 光無線統合ネットワーク / PONミッドホール / 無線フロントホール / エッジコンピューティング / ドローン |
研究実績の概要 |
本研究では,適応的C-RANのコンセプト確立と実証を目的とする.具体的には,フロントホールの低遅延要求とミッドホールの大容量転送とを両立可能な光・無線統合ネットワークの①動的リソース制御技術及び,②無線フロントホールを実現するためのトラヒック転送技術の確立に向けて研究を行う. 今年度の研究実績の概要は以下のとおりである. 1.PONミッドホールの帯域リソース制御のひとつの手法として,ONUサイドに広域に分散配置されたエッジコンピュータを活用し,帯域利用効率の向上と低遅延化技術の両立化を目指す.具体的には,分散配置された監視用高精細ビデオカメラの映像データをエッジコンピュータによってPONプロトコルに適応した処理を施すことによって,上記の技術の妥当性を示した. 2.PONミッドホールとドローンを活用した無線フロントホール間を接続した光・無線統合ネットワークの伝送試験を,光ファイバ伝送路のチャネル推定が比較的容易なことを利用し,非直交多元接続を行うことによって光パスの数を増大させ,干渉を逐次的に抑圧する提案手法の原理確認実験を実施するとともに,提案手法を波長分割多重型 PON(WDM-PON)への適用を検討し,各ONU及び上下リンクに異なる波長を割り当てることで,仮想的に独立した光パスの構築に関する適応領域を明らかにした. 3.無線フロントホールでは,複数の無線フロントホールリンクが確立された場合のリンク間の干渉の影響について定量的に把握するとともに,適応信号処理による干渉除去の検討を行い,その効果を明らかにした.また,移動可能なRUとしてドローンを活用し,その間の通信手法として,他無線周波数との耐干渉性に優れ,経済性とリンクの安定性を有するOptical Camera Communication(OCC)を用いることの有用性を実証した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各進捗に関して,当初2022年度に予定していた提案手法の検証実験を完遂するとともに,新たに移動可能なRUとしてドローン活用の検討も開始している.
|
今後の研究の推進方策 |
1.PONミッドホールの帯域リソース制御のひとつの手法として,ONUサイドに広域に分散配置されたエッジコンピュータを活用し,帯域利用効率の向上と低遅延化技術の両立を目指す.具体的には,分散配置された監視用高精細ビデオカメラの映像データをエッジコンピュータによってPONプロトコルに適応した処理を施すことによって,上記の技術の妥当性を検証する. 2.PONミッドホールの帯域拡大に向けて,これまでに電力多重型の非直交多元接続方式の検討を行い,干渉除去アルゴリズムの提案を行ってきた.次年度は,アルゴリズムを改良し,計算量を削減しつつ広範囲な補償範囲の達成を目指す.評価には,デジタルコヒーレント通信系を模擬した原理確認実験を行い,有効性を検証する. 3.無線フロントホールでは,移動可能なRUとしてドローンを活用し,その間の通信手法として,他無線周波数との耐干渉性に優れ,経済性とリンクの安定性を有するOptical Camera Communication(OCC)を用いる.空間的・時間的な利用帯域の変動に対して,これまで提案してきた光・無線統合ネットワークの動的リソース制御技術が有用であることを実証する.また,フロントホールへの要求条件を踏まえ,OCCの低遅延化及び大容量化に向けた検討を行う.昨年度提案した可視光特有の性質を活用した変調方式及び等化方式,ならびに無線通信における適応等化アルゴリズムを統合するアプローチにて検証する. 4.PONミッドホールとドローンを活用した無線フロントホール間を接続した光・無線統合ネットワークの伝送試験を,空中や水中といった6Gシナリオで想定される実フィールドにおいて実施し,当該技術の有用性のアピールを行うとともに,社会実装に向けた課題の抽出を行う.
|