研究課題
令和5年度も引き続き超低遅延動画像符号化方式におけるアルゴリズム開発に注力した。ハードウェアの実装に関しては基礎検討のみを実施した。アルゴリズム開発はライン単位の符号化器をベースに、高画質化および圧縮率の改善を目的として、5つの観点から新規アルゴリズムを提案し実装し検証した。また、将来超低遅延符号化機能との連携が望まれる深層学習を用いた物体検出についても検討した。1)1次元DCTをベースとした直行変換に加え1次元DST(離散サイン変換)を適応的に選択できるように構成し圧縮率改善を行った。2)フレーム間動き予測手法として、画面分割型適応省メモリフレーム間予測方式を提案した。この提案は必要な圧縮に対してフレームメモリ容量を選択的に設定可能なスケーラビリティを提供している。この方式は1/2~1/32のフレームメモリ容量にて、圧縮率向上に効果があることが判明した。また、フレームメモリの削減を目的としたFMC(フレームメモリ圧縮)手法の基礎検討も実施した。加えて深層学習を用いたフレーム内/フレーム間予測について深層学習のネットワーク構造を提案し実装及び検証を行った。3)符号化部に対して新規にコンテキスト型適応VLC(CAVLC)を適用し、従来MPEG-2ベースのVLCを用いた符号化手法に比較して圧縮率を検証した。その結果、新規CAVLC方式は圧縮率として約2%の改善が得られることを確認した。4)可変ブロックサイズ手法を提案し実装した。符号化対象ブロックサイズ(CB)を16画素x1ライン~128画素x1ラインまで画素の特徴量によって選択可能な手法を実装し、約2%の効果を確認した。5)ライン単位の適応レート制御について実装し検証した。現時点でレート制御におけるバッファ量や制御パラメータの選択など課題があるが基本動作を確認できている。単位や粒度についての基礎検証を継続中である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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ITE Transactions on Media Technology and Applications
巻: Vol.12 No.1 ページ: 85-92
10.3169/mta.12.85