研究課題/領域番号 |
20H04183
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
秋山 豊和 京都産業大学, 情報理工学部, 教授 (80324862)
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研究分担者 |
新井 イスマイル 奈良先端科学技術大学院大学, 総合情報基盤センター, 准教授 (60512572)
山本 寛 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (80451201)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バス安全運転支援システム / 不快運転検知 / IoT / Dataflow処理基盤 |
研究実績の概要 |
バスの車内状態を分析する上で、バス車内で収集された大量のセンサ情報データをどのように収集し、分析するかが課題となるため、2020年度にはバス車内、エッジ、クラウドのように階層化されたネットワークにおける処理コンポーネント配置手法について検討した。ここで、各階層に配置されたコンポーネントの負荷は、センサ情報データの処理状況に応じて変動する。そこで、提案する処理転送先のコンポーネント選択機構の検討を行った。オーバレイネットワークに参加するノードから収集した集約値を用いた条件付きMulticastを拡張し、ノードの負荷などの情報を考慮して、適切なノードを選択して配送するAnycast機構を導入した。また、エンドノードがP2P機能をもたない単純なデバイスでも利用可能とするため、MQTTプロトコルに対応したTopic Based Pub/Sub Broker PIQTを拡張する形で条件付きAnycast機構を実現した。提案内容は論文誌に投稿し採択された。また、2022年度には、低遅延の応答が求められるユースケースを考慮して、低レイヤの技術による遅延の検証環境を整備し、成果を学会で発表した。車内状態の分析に関して、2020年度に引き続き乗降車数の分析ならびに推定手法の検討を行った。前年度に開発した気象情報を加味した推定手法を改良し、得られた成果を国際会議で発表した。さらにコロナウィルスの感染状況と乗降者数の関連についても分析した成果を国際会議で発表した。加えて、匿名性を考慮しながら車内状態を観測するために、LiDARを活用して乗客の位置を推定する手法の検討を行った。特に、観測範囲の三次元状態を表現する点群データから移動物体に対応する点群を抽出し、深層学習を活用して点群の種別を特定する手法を提案した。また、提案手法を実証実験によって評価し、得られた成果を国際会議で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Dataflow platformの検討については、昨年度に引き続き、platformのコアとなるコンポーネント間の通信を実現する機構に関する成果が論文誌に採択されるなど当初の計画よりも進んでいると考えている。バス車両を用いた実証実験については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により当初想定していた実証実験を行うことはできなかったが、新たにバス車内を常時監視する方針でセンシング技術の調査を行い、速度計、GPS、9軸センサ、遠赤外線カメラを用いた方式で、一定の成果が得られる可能性を確認した。また、2022年度に検討した方針について実証実験を行った。実証実験で得られた成果については2022年度に記載する。
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今後の研究の推進方策 |
バス車内状態のセンシング方式について,速度計,GPS,9軸センサ,遠赤外線カメラを用いた常時監視の方式に変更することで,匿名性を考慮したセンシング,長期間の状態監視について,実現できる可能性が出てきている.現時点ではまだ人流が戻っていない状況ではあるが,今後実車両での実証実験を実施することで,想定するような車内状態を分析し,常時監視による不快運転の検知が可能かどうか検証できると考えている.またDataflow platformについて,短時間の応答を求められるユースケースについては,アプリケーション層だけでなく,より低レイヤにおける品質制御が必要になると考えられる.このような事例について解決するための方式についても検討を進める.
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