研究課題/領域番号 |
20H04184
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
木村 共孝 同志社大学, 理工学部, 准教授 (20756382)
|
研究分担者 |
平田 孝志 関西大学, システム理工学部, 准教授 (10510472)
阿萬 裕久 愛媛大学, 総合情報メディアセンター, 特任教授 (50333513)
桂井 麻里衣 同志社大学, 理工学部, 准教授 (70744952)
井上 文彰 大阪大学, 工学研究科, 助教 (40779914)
平栗 健史 日本工業大学, 基幹工学部, 教授 (90582817)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ネットワークセキュリティ / 機械学習 / サイバー攻撃 |
研究実績の概要 |
近年,パソコンやスマートフォンの普及に伴い,SNS,ブログ,電子商品取引など,さまざまなオンラインサービスが提供され,情報通信技術が社会経済活動に不可欠な基盤となっている.近い将来,機械学習を悪用したサイバー攻撃が出現し,その被害が爆発的に増加することが懸念されている.さらに,世間に知られていないゼロデイ脆弱性を機械学習により発見し,その脆弱性を突くことで感染を拡大させるマルウェアの出現も示唆されている.このように機械学習は日々急速に進歩しつづけており,機械学習を悪用したサイバー攻撃は今後,計り知れない脅威になり得る.将来のサイバー攻撃の脅威に対抗するにはユーザ端末やゲートウェイのみではなく,ネットワーク内部においても対抗策を講じた多重防御の確立が必要である.2020年度は「サイバー攻撃の数理モデル化」と「ネットワーク内部での対抗策」に取り組んだ.「サイバー攻撃の数理モデル化」では,サイバー攻撃の一つである自律進化型ボットネットの挙動をモデル化し,微分方程式を用いて,感染の広がりを近似的に得られる決定論的な手法を提案した.さらに,「ネットワーク内部での対抗策」では,DoS (Denial of Service) 攻撃の対抗策としてアントコロニー最適化アルゴリズムを用いたスループット抑制制御方式を提案し,シミュレーション実験により,DoS 攻撃を緩和できることを示した.また,深層学習を用いたフィッシング検知システムについても検討を行い,深層学習を用いることで,フィッシング攻撃の検知をネットワークの内部で行えることを示した.これらの研究成果は英文論文誌,国際会議,国内研究会などで多くの発表を行なっている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では,「サイバー攻撃の数理モデル化」「ネットワーク内部での対抗策」「ネットワークエッジ部での対抗策」の課題に分けて検討を進めている.「サイバー攻撃の数理モデル化」および「ネットワーク内部での対抗策」の課題においては,当初計画で想定していた数理解析や,経路制御方式の検討が進めることができ,論文誌への投稿の準備を進めることができている.また,「ネットワークエッジ部での対抗策」として,ネットワークエッジ部の端末でオーバレイネットワークを形成し,協調させる仕組みについても検討が進めることができており,エッジ部の端末の計算資源を有効活用する手法の検討についても着手できている.以上より,本研究課題は概ね順調に進んでいる.
|
今後の研究の推進方策 |
「サイバー攻撃の数理モデル化」では,理論解析によって概ね予想通りの結果が得られているため,今後はより現実的なシミュレーション実験を行い,現実的なサイバー攻撃に対しても有効な手法の検討を進めていく.また,「ネットワーク内部での対策」については,シミュレーション実験によって提案手法の有効性が示すことができているため,今後は,SDN (Software-Defined Networking) 対応スイッチに提案手法を実装し,実環境においても提案手法が有効であることを示していく.しかしながら,実環境に適用した場合には想定外の要因により,提案手法が有効に働かないことが考えられる.この場合には,この要因を想定したシミュレーションを行うことで,対応策を検討する.
|