研究課題/領域番号 |
20H04185
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
明石 修 国立情報学研究所, 学術ネットワーク研究開発センター, 特任教授 (60841202)
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研究分担者 |
水谷 后宏 近畿大学, 理工学部, 講師 (40845939)
福田 健介 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 准教授 (90435503)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ネットワーク管理 / 検証 |
研究実績の概要 |
本研究ではサービス設定ワークフローを高い抽象度で表現することにより環境・実装依存の部分を隠蔽し,ワークフロー全体としてネットワークオペレータが意図する通りの実行結果であったことの妥当性の検証を目指す.本年度は基本となる構成要素として,実際に運用されるネットワーク機器の設定情報へのラベル付けや構造化された状態での操作情報の取出しなどの解釈抽出パート,および,その設定が運用者の意図として妥当であることの検証パートの関連技術構築に注力した. 解釈抽出パートにおける構造化データ抽出手法としては,通常の設定情報から操作記述を表すテンプレートと,テンプレートに対するパラメータ値に分離した上で,data-driven解析の手法を用いてこれらを意味付けし構造化した形で取出すことを目指す.まずは設定記述を教師なしの学習器に与え,関連する設定記述のテンプレートを返すレコメンデーション機能の実装をターゲットに,タッカー分解を用いてテンプレートブロックを抽出する手法を提案し,実験評価を行った.また提案手法の性能評価にタッカー分解の手法と類似した非負値行列分解(NMF)を用いて,テンプレートブロックの抽出精度に関する比較評価を行い,有効性を評価した.本研究は査読付き国際会議に採録された. 検証パートに関しては,ネットワークの挙動が運用者の意図通りであることの検証を目的とし,コントロールプレーン検証,データプレーン検証の両視点から,検証手法設計・構築を進めた.特に,対象とするネットワークの形態や,様々なレイヤの管理運用手法が複雑に混在する現実のネットワークを意識し,そのモデル化,規模拡張性を解析しながら構築を進め,初期実装を通じて実験・評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解釈抽出パートの設定情報へのラベル付けに関しては,ルータの設定記述から汎用的なテンプレートとパラメータに分離し,更に外部情報を利用する手法を構築し,実験・評価を進めた. 具体的には,設定記述のブロック単位に類似する外部文書のラベルを割り当てるフレームワークを用い,コンフィグブロックより単語列を抽出し,外部の技術規定文章であるRFCやベンダーのマニュアルを学習データとしたword/document embeddingを行い,文書空間において対象コンフィグブロックに最も距離が近い文書を割り当てる.これにより,コンフィグブロック単位でのプロトコルレベルのラベル付けが可能となった. 本研究成果は査読付国際会議論文として発表された. 検証パートに関しては,可変長なパケットヘッダ書き換えに対応したネットワーク検証技術に関して研究を進めた.インターネットでのデータ転送は,ルータ・スイッチで到着したパケットのヘッダと転送テーブルのマッチングを行うことで行われる.しかし近年、パケットヘッダの動的変更を伴うネットワーク制御技術が導入されている(NAT, セグメントルーティング).これまでのネットワーク検証では、このような動的なパケットヘッダの書き換えを行うプロトコルを取り扱えず,高度な機能を持つネットワークの検証を行うことが難しかった。そのため,可変長ヘッダを用いるSRv6(segment routing over IPv6)に対応したネットワーク検証技術を開発した.具体的には、ネットワークモデル中にパケットヘッダの変更をトラックするためのスタック構造を導入し,モデル上でネットワーク運用者のポリシを有界モデル検査を用いて検証する.この研究成果は査読付国際会議論文として発表された.
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今後の研究の推進方策 |
解釈抽出パートの意味づけと構造化データ抽出に関しては,引き続きより現実に近い設定データを使いながら実験・評価を進め,手法の改良を行い,精度を高める.検証パートのネットワークの挙動の妥当性検証に関しては,対象とするネットワークを想定し,現実のネットワーク管理技術,規模拡張性が網羅される形で,手法自体の設計と改良を行いつつ,実験と有効性検証を進める.
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