研究課題
本研究は、ストレージクラスメモリなる新たな記憶媒体を対象として、当該媒体が備える永続的でありかつ低レイテンシであるという特性に高次に適合した高速データベースエンジンの構成法を明らかにすると共に、その有効性を確認することを目指すものである。第3年度である令和4年度は、前年度に成果に基づき、計算機システムの物理構成を意識した親和性制御方式ならびに先端的なプロセッサが具備している排他制御命令を活用したロックフリー化バッファ管理アルゴリズムを組み込んだデータベースバッファマネージャ(データベースエンジンに於いて主記憶と二次記憶を接続する役割を担う)の改良を進め、そのソフトウェアモジュールを非順序型データベースエンジンの試作器へ組み込む実装を行った。ページアクセスレベルの人工的なマイクロベンチマーク(偏りのないアクセスおよび偏りのあるアクセス)ならびに標準的な解析系データベースベンチマークであるTPC-Hを用い、多様な条件設定を定量的に比較することのできる性能試験を実施した。例えば、この結果、とりわけ親和性制御方式が有意に性能向上に寄与することを定量的に確認するに至った。同様のアプローチを並列データマイニング処理へ適用することにも挑戦し、ストレージクラスメモリを活用することがより大きな中間状態を必要とするデータマイニング処理の効率的な実行に寄与すること、ならびに、親和性制御方式が性能向上に有意に寄与することを、多様なデータセットならびにデータマイニングパラメータの設定の下、実験的に明らかにすることに成功した。この他、新たな試みとして、最近のGPUが具備する入出力管理機能をデータベースに於ける問合せ処理に活用するための先駆的な実験を行った。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEICE Transactions on Information and Systems
巻: E105-D(5) ページ: 909-919
10.1587/transinf.2021DAP0004