研究課題/領域番号 |
20H04192
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
横田 治夫 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (10242570)
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研究分担者 |
荒木 賢二 宮崎大学, 医学部, 教授 (70274777)
山崎 友義 宮崎大学, 医学部, 研究員 (50586609)
串間 宗夫 宮崎大学, 医学部, 研究員 (00727414)
小川 泰右 宮崎大学, 医学部, 助教 (60586600)
Le Hieu・Hanh 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (60813996)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シーケンス解析 / 電子カルテ / 項目推薦 / 医療検査 / 値予測 |
研究実績の概要 |
大量の履歴データのシーケンスから傾向を抽出し、次の項目や値を予測し、さらには予測に基づいて推薦を行う処理には広範の需要があり、重要度が増している。しかし、シーケンス中の複数項目の値の変動に依存して項目の出現が動的に変化する場合に、次に発生する項目を納得できるように予測することは、従来の手法では十分ではない。例えば、電子カルテデータに含まれる複数の医療検査項目の値の変動から、次にすべき検査項目や医療指示を根拠となる情報を基に予測することは従来のシーケンス解析では困難であった。 本研究では、同時に発生する複数の項目の値の変動の依存関係を抽出して次に発生する項目を予測する手法を実現し、実際に蓄積された電子カルテの医療検査項目の履歴に適用して傾向を解析する。具体的には、電子カルテデータに含まれる複数の検体検査項目と、その値の変動から、次にすべき検査の項目の予測や、次にすべき医療指示の内容の予測を行う手法の実現を目指した。 まず、電子カルテデータに含まれる検体検査項目で同時に実施される検査項目から、クラスタリング手法を用いて複数の検査グループに分類し、抽出された検査グループ毎の特性ベクトルを作成する。次に、各検査グループの検査結果の中の異常値を、基準範囲の上方に外れるHと、下方に外れるLで示した特性ベクトルも用意し、それらの特性ベクトルのシーケンス解析を行うことで、検査グループ間の推移を抽出し、次の検査項目群を推薦する手法を提案した。その提案手法を、宮崎大学医学部附属病院に蓄積されている実際の電子カルテデータベースに含まれる検体検査データに適用して精度の評価を行い、効果を示した。さらに、クラスタリング手法の改善を行い、クラスタリングを2回に分けて行うことで一般的な検査項目も含めて、検査項目の推薦精度が上がることを示した。それらの提案手法とその評価結果に関して外部発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
大量の履歴データのシーケンスから傾向を抽出し、その傾向を根拠として次の項目や値を予測し、さらには予測に基づいて推薦を行う処理の具体例として、電子カルテデータ含まれる複数の検体検査項目と、その値の変動傾向を根拠として、次にすべき検査の項目の予測や、次にすべき医療指示の内容の予測を行う手法を実現し、実際の電子カルテデータに適用してその効果を示すことができ、その成果を外部発表することができた。 さらに、その手法を発展させ、検査以外の医療指示を含めてシーケンス解析を進めるとともに、検査結果の変動が与える影響や、解析の対象期間を長くした際に、期間の途中でパターンの変化がある場合に、パターンの変化を検出する手法、さらに単一の医療機関だけでなく、複数の医療機関の電子カルテへの適用を目指し、千年カルテプロジェクトで収集している電子カルテを対象とすることも想定し、検査グループのシーケンスだけでなく、医療指示のシーケンスも含め、医療機関間の差異を示す方法の検討にも入ることができ、当初の計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
検査以外の医療指示を含めてシーケンス解析を進めるとともに、検査結果の変動が与える影響に関しても検討を進める。また、解析の対象期間を長くした際に、期間の途中でパターンの変化がある場合に、パターンの変化を検出する手法についても検討を進める。さらに、単一の医療機関だけでなく、複数の医療機関の電子カルテへの適用を目指し、千年カルテプロジェクトで収集している電子カルテを対象とすることを想定する。その際、検査グループのシーケンスだけでなく、医療指示のシーケンスも含め、医療機関間の差異を示す方法も検討する。
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