研究課題/領域番号 |
20H04218
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐宗 晃 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (50318169)
|
研究分担者 |
小木曽 里樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (10821738)
長久保 晶彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (00357617)
児島 宏明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80356980)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 作業行動認識 / 音源認識 / 音源定位 / マイクアレイ / 体導音 / 音響イベント / アクティブ音響計測 |
研究実績の概要 |
【研究目的】人口急減と超高齢化による労働力人口の急激な減少により、製造現場などでは協働ロボットによる省人化、生産の効率化、熟練技術の継承などが課題となっている。このための基盤技術として、①作業行動認識技術、②手作業内容や指と物体との接触状況のセンシング技術が必要となる。 【研究実施計画】課題①に関しては、作業音の音源定位と音源認識の統合による頑健な作業行動認識システムの実現を目標とする。課題②に関しては、指と物体との接触による振動が手首に伝搬する体導音(パッシブ型)、または手首に装着した振動アクチュエータから手の内部へ入力した振動の反射等の体導音(アクティブ型)を計測して、手作業の内容や、指先と物体との静的な接触状況などを認識する手首装着型センサの実現を目標とする。 【R03年度研究実績】課題①に関しては、生活環境音認識タスクに基づき、提案法の音源認識アルゴリズムと従来法との認識精度を比較した結果、提案法の有用性が示された。そして、その内容をまとめた論文を国際論文誌(IEEE Access)に掲載した。 昨年度に引き続き、ピッキング作業音の音源認識精度を評価し、特徴的な3種類の作業音に対して89%の認識精度が得られた。また、その音源認識結果のタイムチャートから、フローに従った作業進捗状況を把握可能なことを確認した。 課題②に関しては、昨年度に試作したパッシブ計測の体導音センサを用いて、特定被験者が13種類の手作業をしている時の体導音を計測した。提案法の音源認識アルゴリズムを用いて、モデル学習データとは異なるテストデータを認識した結果、88%の認識精度が得られることを確認した。またアクティブ計測の体導音センサを試作し、振動アクチュエータから指先までの振動伝搬や指先から物体への伝搬の様子を計測した。また、指と物体の接触の有無が、反射波の特定の周波数帯域に変化を生じることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は被験者数を増やしてより大きな規模のデータベースを構築し、それに基づいて作業音や体導音の認識実験を繰り返すことで認識アルゴリズムを改良し、実用性を高めることを計画していたが、人間工学実験の一時中断などのためデータ計測が大幅に遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、被験者を増やして、作業音とパッシブ計測体導音の大規模なデータベースを構築する。また昨年度試作したアクティブ計測の体導音センサによる体導音計測を進めると共に、そのデータに基づいて物体と手や指先との静的な接触状況を認識するアルゴリズムの研究開発を実施する。更に作業音や体導音の音源認識の結果と、それらの音がどのような順序で観測されたかなどのコンテキスト情報、そして作業音の音源定位結果を統合して作業行動をより頑健に推論するコンテキストモデルを構築する。
|