研究課題/領域番号 |
20H04228
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊藤 雄一 大阪大学, 情報科学研究科, 招へい准教授 (40359857)
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研究分担者 |
高嶋 和毅 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (60533461)
杉浦 裕太 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (40725967)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヒューマンインタフェース / アクティブ音響センシング / サーフェス |
研究実績の概要 |
本研究では,物体表面に音響信号を伝搬させ,その変化を学習することによって物体表面上に置かれたモノの位置,種類や状態,モノに対するインタラクションを取得する,アクティブ音響センシングを用いた物体表面センサ化とその応用技術の確立を目指す.具体的には,これまで確立した平面板上におけるアクティブ音響センシングの基本技術に対し,ハードウェアのモジュール化や改良,音響信号の改良を施し,人そのものや人の身の回りに存在するモノの位置や状態,使用状況といった多元的な情報を短期的・長期的に収集・解析することで,人の状態や活動状況の認識とその変化を低コストで捉えることを可能とする技術を確立する. 本年度は温度変化にロバストなセンシング技術確立に関して検討した.アクティブ音響センシングでは,パネル上の物体による音響信号変化よりも,温度変化による音響信号への影響の方が大きく, 例えばパネルの温度が2℃程度変わるだけでも識別率が20%ほど低下してしまう.そこで環境温度がスイープ信号に与える周波数影響特性を調査し,その知見に基づき環境温度による影響の補正を試みた.周波数方向と振幅方向への補正手法①と,それを拡張した補正手法②を検討した.この補正手法を用いて,サーフェス上に置かれた物体の種類 (3種類) と位置 (3箇所) を異なる環境温度下で識別する2つのテストを実施した.その結果,22.7℃~30.5℃の環境温度下で補正手法①を適用することで,物体の平均識別率が補正なしの18.7%から75.8 %に向上することを確認した.さらに,訓練データを 25.2℃の環境で集め,19.4℃の環境で集めたテストデータに対して,2つの補正方法の精度を比較したところ,補正手法①では77.7%,補正手法②では84.1%となり,補正手法②の有効性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
温度変化に対してロバストなアクティブ音響センシングを実現するために環境温度がスイープ信号に与える周波数影響特性を調査し,その知見に基づき手法を2つ考案し,実際にテストした結果,センシング識別率を18.7%から75.8 %に向上できることを示せたため.
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今後の研究の推進方策 |
環境温度に対してロバストなセンシング手法が確立できたので,今後は実環境・実物体を用いてセンシング機能の高機能化を実施する.例えば,アクティブ音響センシングとパッシブ音響センシングを組み合わせることで電力消費やネットワーク帯域消費を抑えたり,物体の位置や種類だけではなく,その物体に対して実施されたインタラクションを取得する手法についても検討する.
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