研究課題/領域番号 |
20H04229
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長松 隆 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (80314251)
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研究分担者 |
竹村 憲太郎 東海大学, 情報理工学部, 教授 (30435440)
中山 実 東京工業大学, 工学院, 教授 (40221460)
鎌原 淳三 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (60283917)
山本 倫也 関西学院大学, 工学部, 教授 (60347606)
田中 直樹 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (90188318)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 視線計測 |
研究実績の概要 |
① 幾何学的な制約によるキャリブレーション 幾何学的な制約によるキャリブレーションを成功させる鍵は光軸の推定精度の向上である。光軸の推定精度は、眼球の特徴点の推定精度に依存する。光軸の向きを精度良く求めるには、眼球の向きに応じて、精度が高くなる方向から光を当てる必要がある。そのため、眼球を照らす光源の数を増やす必要があるが、角膜に映った反射光がどの光源から来たものか識別する必要がある。今年度は、偏光カメラを用いた反射光識別手法の開発を行った。 ②画面情報を用いたキャリブレーション 眼球の光軸周辺に限定したディスプレイ画像の顕著性マップを用いてキャリブレーションをする手法の研究を行った。本年度は、トップダウンのアプローチにより作成され高性能であると言われている顕著性マップ(DeepGaze II, UNISAL, MSI-Net)を適用し、キャリブレーションの精度の向上を図った。光軸を基準とした座標系を導入することにより、提案した手法は、動画にも対応させることができた。開発したシステムで、7人分の計測データを用いて評価を行った結果、1点を注視したキャリブレーションに匹敵する1.54度で視線の推定ができた。発表した論文は、ヒューマンインタフェース学会で、若手卓越研究賞と論文賞を受賞するなど高く評価された。また、本テーマの研究に従事していた学生が博士号を取得したことから若手育成にも貢献した。 ③ 瞳孔径変化に基づくキャリブレーション この研究は、瞳孔径の変動の時系列を分析することにより、実際に見ている場所を推測しようとするものである。昨年度の研究から、キャリブレーションに利用するには、瞳孔径の変動は非常に不安定であることが分かったが、これの解決方法を見出すことは困難であった。関連して視線の分析手法についても研究を行った。しかしながら、②の研究に注力したため、進展は限定的であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、偏光カメラによる光源の識別の研究を行うとともに、画面情報を用いたキャリブレーションの研究に特に注力した。そのため、瞳孔径変化に基づくキャリブレーションについての進展は限定的であった。 画面情報を用いたキャリブレーションについては、大きな成果をあげることができ、ヒューマンインタフェース学会で、若手卓越研究賞と論文賞を受賞することができた。 以上から全体としてはおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
カメラからの画像取り込み、画像処理部をC++からPythonに移植し、開発のしやすさを向上させる。 これにより、画像処理部に最新のディープラーニング技術を導入し、処理の安定化や精度の向上を図る。
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