研究課題/領域番号 |
20H04233
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
柳田 康幸 名城大学, 理工学部, 教授 (70230266)
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研究分担者 |
野間 春生 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (00374108)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / 嗅覚提示 / 空気砲 / 渦輪 |
研究実績の概要 |
ユーザーに装置を装着させることなく,時間的・空間的に香り刺激を制御する手段として,空気砲から射出される渦輪を利用する.クラスタ型デジタル空気砲 (Cluster Digital Air cannon: CDA) は空気砲設計の自由度を飛躍的に高める手法として提案されたが,その基本原理を検証するため,48チャンネルの空気弁を持つ空圧システムを構築した.最終的には約100チャンネルに拡張できるよう設計しているが,基本原理の確認には48チャンネルで十分な自由度を有するため,この構成で実験を開始した. 従来の箱形空気砲で言えば開口部に相当するCDAヘッド部は,現有する3Dプリンタを使って作製し,同心円状に小口径の空気噴出口(ノズル)が並ぶよう配置した.最初に,内側から何周目までのノズルをアクティブにするかによって,渦輪の直径が制御できることを確認した.渦輪のサイズは到達距離に影響するため,これを可変とすることで匂いを届ける対象と空気砲との距離変化に対応できる. 次に,渦輪生成の安定性について検討した.CDAの原理を提案した際,CDAの外周部まで密にノズルを配置するのではなく,外周部を間引いた場合に渦輪生成率が良くなる現象が観察された.しかし,流体力学的に考えると流速は同心円状で均一である方が良いと考えられるため,この現象が発生する理由は不明であった.検証実験を行ったところ,空気弁通過後の流路分岐により各ノズルから射出される空気量にばらつきが出ることが主因であることが判明した.このため,CDAの構成にあたり,バルブ通過後の分岐数を抑えること(理想的には1バルブ1ノズル)が重要であるという設計指針が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染拡大に伴い繰り返し入構制限が行われたため,実験を担当する学生の作業時間が確保できず,全体的にスケジュールが遅れた.このため,繰越を行って作業時間を確保する必要があったが,その結果当該年度の研究内容としてはほぼ計画した通りに実施できた.
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今後の研究の推進方策 |
期待されるCDAの機能は多様であり,まだ一部しか検証していない.従来の箱形空気砲と異なり,空気砲の開口部流速分布とタイミングを独立に制御できるCDAの特徴を活用するため,最適な流速分布を流体シミュレーションで探るとともに,これを実機で実現するための構成について検討する.また,空圧により制御するCDAは機械駆動式と比べてタイミング制御の面で有利であるため,これを活用した効果的な渦輪射出・制御手法について検討する.さらに,香りを効率良く搬送するための香気充填手法について検討する.
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